日本の郷土料理店中間報告/乾麺の考察
只今連日連夜東京のイタリア郷土料理店を徘徊しているわけですが、これは近日発売の某誌の取材のためであります。もうしばらくしてからあらためて発売予告などの告知をさせていただきますが、ここまでコメントやメールで貴重な情報提供をいただいた皆様へ の中間報告を兼ねてここまで10日間の中間報告を少々。店名は(今のところ)伏せてありますが地域性などでご判断いただければ幸いです。 まずH.A.さんに教えていただいたカラブリア料理F@大井町非常に探究心あふれる店でした。 オーナーのY氏はイタリア料理関係者なら誰もが持っている「イタリア料理用語辞典」 の執筆者ですからイタリア料理を目指すものにとっては雲の上の存在。その元で現在料理長として働くA女史は研究熱心な努力家。ひとつイタリアに持って帰る宿題を託されました。 MARIさんから教えていただいたCG@本郷とても博学なシェフでイタリア全土の料理に精通していることはもちろん、自ら足を運んで回ったレストランの知識が豊かなこと。ひたすら平身低頭。 ともみさんから教えていただいたSAVOY@仙台の移転先は以下のようになりました。 La Sala d’Y@神楽坂 東京都新宿区西五軒町6-1 tel03-5206-5400 11月開店予定とのこと。 横山浩司シェフご本人からお返事をいただきました。 これまで回った中で強く感じたことは全体的に手打ちパスタ至上主義であること。それは何よりもパスタを含めたプリモピアットこそがイタリア料理最大の特徴であり長 所、さらに歴史も郷土色も強く秘めたソウルフードですし、己に厳しい料理人諸兄姉は料理としての環を完成させるため自ら麵を打つのだと思いますが、実はイタリアでは手打ちパスタをメニューに出していながら自家製麵でない店も数多くあります。 しかしそれは手抜きでも何でもなく、卸しや小売りの手打ちパスタ店がどの町にも存在しているからです。リストランテでさえそうした店からパスタを買うのは安定、 手間、コスト、クオリティなどを考えたプロ同士の分業化のゆであります。日本のラーメンを語るのに●●製麺という名が普通に語られ、うどんやそば製造店が数多く存在する日本との違いはここで、レストラン卸し専門の手打ちパスタ店、というのはまだ聞いたことがありません。もしも存在しているのをどなたかご存知でしたら教えて下さい。 とはいえ当然のことながら乾麺には乾麺ならでの味わいも利便性もあり、ローマ以南、あるいはイタリア全土海辺の町ではスパゲッティなくしてなんのこの世の桜かな、 という不文律があるのはみなさんご存知の通り。ですから生麺>乾麺というヒエラルキーは必ずしも成り立ちません。 先週発売のある週刊誌に「近頃の女子供をたぶらかしているようなイタリア料理店ではパスタ料理と称して乾麺のスパゲティを出したりするが、それは立派な料亭でインスタント茶漬けでご飯を食べさせるようなもの」というような表現がありました。 文章の論旨としてはここで紹介する店はそうではないちゃんとした店だ、という内容なのですが、今現在日本では乾麺を見下し、卑下する傾向があるのでしょうか?私はど ちらも同格に思えます。パスタを自ら打つ料理人にはもちろん尊敬の念を感じずにはいられませんが、乾麺も大好きです。イタリア全土珍品も含めて手打ちパスタ十数種類を毎日一人で作るあるシェフは「何にしましょうかねぇ」と考えた結果「ローマ風パイアータのリガトーニ」を出してくれましたが、それはそれは素晴らしいものでし た。MASA

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