Alcazar@Valencia
ヨーロッパを駆け巡るミラノ在住カメラマンK氏が「バレンシアはつまらないよ」といっていた意味がよくわかった。カテドラルや立派な市場の周囲にはまったくといっていいほど入ってみたいと思う店がない。唯一、「あ、ここはいいかも」と思った米料理の店La Riuaは夏休みの改装中。店主らしきおじさんが何度も「ごめんね」と謝っていた。「また来年」とも。来年?! 今秋じゃないの? 8月に入ってしまったという理由もあると思うけれど、これほど厳しいとは...。ともかくも探しまわるうちにガラスケースに魚介を並べた渋い店を発見。1950年創業というAlcazarはバルカウンターとレストランがワンフロア合体の70年代で時が止まったようなレストランである。 前菜にカメノテとガンバ・ライアーダ(赤エビ、24ユーロ/100g)、そしてパン・コン・トマーテをオーダー。我々にとってバレンシア初パエージャはウエルタナ(野菜パエージャ、一人分12ユーロ二人分から)をセレクト。ワインはカバ一杯の後、バレンシアもの、Los Monteros11ユーロ。軽くフルーティでいくらでもいけそうな白。 直径50cmはあろうかというパエージャ鍋に腰がくだけそうになったが、アーティチョーク、ネギ、ほうれん草、豆などたっぷりのパエージャは食べれば食べるほどやめられない。魚介だと旨味がしつこくてやがて食べられなくなるけれど、野菜ベースは結構いけてしまうのが怖い。 満腹で朦朧としながらなんとなくワインリストを眺めていたら、眠気がふっとぶ代物を発見。Decada de losで始まる項目は80年代に始まり、70、60、50年代、そして、1925年ものレゼルバも! 505ユーロとあるけれど、もうこれは値段ではありません。ぜひ試してみたいと思ったけれど、明日から夏休みに入るという。残念なような、助かったような。mnm

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