マドリード再訪 Cerveceria Cerbantes, Bocaito, L’Albufera
先週末からこっちずっと悪天候続きで、地方の弱小空港であるフィレンツェから飛べるか飛べないか胃が痛くなるような思いをしてようやくマドリードに到着。今回は老舗皮革ブランドの取材なので、メインはあくまでも革製品。食は二の次三の次。とはいえ、どこで食べても基本的に間違いのないマドリードでは、一日の仕事を終えた後のタパがことのほか美味しくて慰められる。 まずは宿の近くのCerveceria Cerbantes。スペインの店は商店飲食店に関わらず、ウィンドウガラスを常に綺麗にしておくという習慣がイタリアほどにはないらしく、大抵ちょっと汚れているが、このセルバンテス通りにあるほかのいくつかの同様のタパス屋に比べると、同店のウィンドウはまずまず綺麗。エビやカメノテ、貝なんかがガラスの向こうに並んでいる。ここの名物はタコのガリシア風(タコ、超柔らかく、イモ、ほっくり)、エビの塩ゆでor鉄板焼き。ちょっと厚めのポテトチップス(市販品)を合いの手に、白ワインが進みます。 そして昨夏、ご縁のなかった1966年創業のBocaito。アンダルシア地方料理、特にフリットがご自慢。また、豚の内蔵煮込みカジェスもある。イワシのフリットはぽりぽりといくらでも食べられて困った。同席者が英語メニューから注文したblack squidは、なんのことはないイカスミ煮であったが、別添えのライスにスミ汁をかけて食すのが、ちょっと美しくて羨ましかった。 アルコールランプの光が頼りだったため、写真をまったく撮らなかったのが、発展場系今風タパス屋、Lateral。カバが飲みたかったのに、シャンパンしかないという不思議な店(しかも、なぜかテタンジェのみ)だが、料理はボリュームたっぷりで安い。若人から中年までが集うのもむべなるかな。我々が行ったのはベラスケス通り店だが、そのほか三軒くらい支店があり、夜遊び店も多いフエンカラル通りにもあるらしい。 ハモンもクロケタもフリットもトルティージャも食べたけれど、何かひとつ忘れてないか? そう、アロスです。お米です。コーディネーター氏が連れて行ってくれたのは、五つ星ホテル、メリア・カスティージャにあるL’Albufera。パーティもOKな広い店の売りはパエージャで、バレンシア風、オリジナルのアルブフェラ風などバリエーションさまざま。フィデオア、通称麺パエももちろんある。さて、我々が選んだのは魚介が苦手というコーディネーター氏を気遣って、バラッカ風(うさぎ、鶏、アーティチョーク)。お味はしっかりブロードの効いたチキンライスといった感じ、お米が今までスペインで食べたどのパエージャよりもぱりぱりとよく焼けていて、噛みごたえ満点。最後だからちょっと良いワインをと選んだリオハのArdanzaレセルバ2000とも好相性であった。 お土産はMercado La Paz入り口のサルメリアJose Alvarezにて手切りのハモンの真空パック、ケソ、はちみつ。ハモンにつきものの小指大の堅焼きパンとマグロのトロのオイル漬けはマドリード在住M女史から頂戴した。霧でまたしても飛ばないかもと脅されたマドリード・バラハス空港のデリカテッセンではあま〜いクッキーのポルボロネスを。そして最後に、成田で鮨を食べるように、マドリードで食べるのはトルティージャ・サンド。これがまたいい具合に冷めてて郷愁の味なのである。mnm

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