フランス料理を世界遺産に?

先日サルコジ仏大統領(妻はイタリア人カルラ・ブルーニ)がフランス料理をユネスコ世界遺産に申請することを表明しました。そのような話は以前からちらちら話題になってましたが国家元首が正式に表明し、来年ユネスコに申請、その結果は2010年に分かるようです。
この話は隣国こちらイタリアでも取り上げられ、スローフード協会のカリスマ、カロリンことカルロ・ペトリーニは「食文化を世界遺産に、という発想は素晴らしいがフランス料理だけそうなるというのはいかがなものか。ならばすべての国の料理が世界遺産となるべきだ。」とフランス料理の抜け駆けを批判。
私が敬愛するミラノのジャーナリスト、パオロ・マルキはこうおっしゃってます。
「サルコジがフランス料理は世界一、と言った言葉には憤りを覚えた。例えばEU指定のDOP食材をとってみるとイタリアが166品目なのに対してフランスは156品目。『あるいは世界第二位?』とも言ったが、ならば一位はイタリア料理なのかスペイン料理なのかそれとも中国料理だとでもいうのか?(もしかして日本料理?)イタリアの問題とは食のカースト制度であって、イタリアの政治家や実業家はこのようにイタリア料理の価値を高めようとは決してしない。グアルティエロ・マルケージは『イタリアではこのようなことはおこりえないだろう』と言い、モレーノ・チェドローネは『フランスでは国家がガストロノミーを支持しているが、イタリアでは料理人だけだ
』と言う。確かにそうである・・・。」
国家がガストロノミーを支えているかどうか、というのはフランス料理とイタリア料理の総体的な相違点を語るときによくあげられる点です。例えばMOFのような制度はイタリアにはまだありません。そうした権威づけはあくまでスローフード協会やイタリア・パスティッチエレ学会、司厨士協会といったいわば料理人、あるいはフードジャーナリストという食の専門家サイドからの行動であって政治を巻き込んだ国家規模的プロジェクトまでは未だ昇華してないのであります。
話は少々それますが「イタリア美味遺産」という特集を「家庭画報2007年6月号」(世界文化社)でやっております。これは伝統的料理を作り続ける老舗料理店を取り上げて美味遺産とする、という企画でマスエッリ(ミラノ)、アンティカ・ボッテガ・デル・ヴィーノ(ヴェローナ)、ケッキーノ(ローマ)などシブい老舗がずらりと並ぶ特集です。アマゾンでまだ購入できるようですので読みはぐったかたは
こちらでどうぞ。
「イタリアの老舗料理店」もあわせてお読みいただくと一層面白いかもしれません。MASA
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