シチリアからの生還
夜はすでにとっぷりと暮れたローマ・テルミニ駅20時30分。パレルモ行きトレーノ・ノッテはその名も「Il Gattopardo=山猫号」というシチリア好きなら胸ときめくのをおさえられない美しすぎるネーミングであります。で、その一等寝台Excelsiorのシングル個室寝台はバス、トイレ、朝食、新聞付きの快適空間。ナポリを過ぎ、深夜にメッシーナ海峡を渡る船に列車が積み込まれるのを遠い意識の片隅で感じ、波に揺られつつ惰眠をむさぼっていると、まもなくシチリアに上陸。30数回目のシチリア上陸のお供は初めての深夜特急でありました。 8時30分にパレルモ中央駅に着き、ホテルにチェックインした後ひげを剃って直行したのはカポ、そしてバッラロの市場。バッラロで祖父の代から代々魚屋家業一筋だという親父はこう叫んでました。「Ballaro’, Ballaro’, mercato piu’ bello del mondo!! *** +^%%$#@$%# ?”::”>”(以下意味不明)」 極彩色のイメージが層をなし、愛と憎しみと光と影、貧困と栄華と暴力と慈悲と生と死といったあらゆるコントラストが路上に散乱しつつも全ての清濁あわせ飲む、そんな矛盾に満ちたシチリアを象徴するのがこうした市場であります。ここ2年ほどサルデーニャにばかり心が行っていましたが、久しぶりにパレルモの毒気を胸一杯に吸い込んで思いを新たにしました。シチリア本、再び作ります。 MASA

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