フィレンツェの市場の現状
先日手元に届いたフィレンツェ地方紙「Reporter」をぱらぱらとめくっていたら気になる記事が。市が主導してサン・ロレンツォ、サンタンブロージオの2つの市場の営業時間を当面3ケ月の期間限定だが、午後まで延長する提案をしているという。現在改装中のサン・ロレンツォの最近の観光地化とていたらくぶりは目を覆うほどで、今二つの市場を比べたら質、量、活気全てサンタンブロージオに軍配が上がる。で、この営業時間延長提案はなぜかというと、最近はアジア・マーケット系(私もVIVIマーケットを利用してますが)やケバブ系、ミニマーケット系があまりに多くなり、本来フィレンツェの伝統であった小規模小売業が圧迫されているから、ということである。 本来の自由競争を阻害するこうした行政の考え方はイタリアでは今に始まったことじゃないからいいとして(ルッカではレストランの新規出店はイタリア料理店以外認められないのだ)、市場で働く人の間ではこの営業時間延長は賛否両論である。最近はこの不況で売り上げも落ちてるから賛成、という人もあれば、普段朝早くから働いているのにさらに夕方まで働くことは体力的にできない(高齢者多し)、特に冬や夏はなおさら、という人も。営業時間延長は週2日でどうでしょう、という折衷案もある。しかし、仕事帰りにスーパーマーケットで市場ほど新鮮ではない食材を買わなければいけない現代人のために、市場は営業時間を延長すべきだ、という前向きな意見が多いよう。確かに肉、野菜、魚などの生鮮食品はもちろん、ネルボーネやポークス、ダ・ロッコ、あるいはカーサ・デル・ヴィーノやゴッツィといった場内外の食堂が遅くまで、あるいは夜も営業してくれるのなら我々酒飲み、もとい善良なる消費者としてはありがたい限りである。ポークスのカウンターでポルケッタつまみつつアペリティーヴォ、さらに河岸変えてカーサ・デル・ヴィーノで赤ワイン、しめはゴッツィで煮込み、なんて一日を終えるのに最高の過ごし方ではないか。 というわけで(?)暖かくなった3月頃に参加希望者数名単位で市場ツアー開催を考えてます。最近は旗持ったガイドさんに案内された団体さんや、「いらっしゃいませ〜」という呼び込みがやけに目につき、サン・ロレンツォ衰退の一助となっている感もありますが、そうではないリアルなフィレンツェ人の台所、食堂を有志若干名とともに歩き、語り、食らおうという意図であります。カーサ・デル・ヴィーノのジャンニは「アメリカ人はトリッパだ、アンチョビだというと、うえ〜と気持ち悪そうな顔をするが、日本人は興味深そうに食べてくれる。日本人は食に対する感心が高いから、仕事してて気持ちいい」といってくれました。日本から、イタリア国内から、あるいは他国から。ご参加いただくのはどの国からでも結構ですが「フィレンツェ市場美食散歩ツアー」を来春辺りにオーガナイズしますのでご興味と感心、旅行予定のある方、メールもしくはコメント下さい。詳細はまだ未定ですがサン・ロレンツォ編とサンタンブロージオ編を考えております。うわべでない真のフィレンツェの市場をこの際一緒にじっくりと見てやろうではありませんか。MASASAPORITAをもっと見る
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