週間食卓日記@ポーランド
4月某日、パリ経由でワルシャワ入り。この便、AirFranceだけどJALとコードシェアであることに軽くびっくり。今回は生誕200周年のショパンの取材。ショパン好きの日本からJALで多くの同胞が訪れるのであろうことを実感。到着は薄暗いターミナル1。共産主義時代の薫りがそこはかとなく漂うという意味では旅愁たっぷり。夜分の到着だったので、ホテルに入ってそのままホテルのバーで夜食。チキン・シズリングなるものを頼んだら、鶏のケチャップ煮ライス添え。前途多難の嘆息。 4月某日、旧市街ロケハン。ホテルから500mほどで世界遺産の旧市街にたどり着く。80年代に漸く終了したという戦後復興は、壊滅せられた街並を忠実に再現。でも悲しいかな、妙に新しい街は非現実的に見えてしまう。まるでテーマパーク。救いは周りに高層ビルがないこと。頭上から脅すようなものがないのは不幸中の幸い。ランチはHotel Bristolでビュッフェ、握りや巻物の寿司に群がるポーランド人たち。夜も宿泊ホテルのレストラン。ポーランド名物の餃子風ラビオリ、ピエロギを初食。中身はキノコとキャベツのような野菜。ゆでた後、揚げ焼きしてあって、見た目も食感も餃子そのもの。 4月某日、旧市街撮影。復活祭のため、街は相変わらず死んだよう。なにせ、前法皇様の故郷というばりばりのカトリック国、イタリアよりもそのへんはストイック。期待に違わず、イタリア系のピッツェリアがオープンしているのを発見。(宗教よりも商売です。)マルゲリータ、クアットロ・スタジオーネなどを注文。生地は薄め、トマトソースは甘め、絶対砂糖入ってるな、というような。ポーランドはメインにジャムや果物ソースを添えるほか、料理そのものに砂糖をたっぷり使うのも伝統だそうで、となるとピッツァ生地も甘くて当然。夜はDom Polskiなる一軒家レストランへ。卵から孵ったばかりのひよこたちがお出迎えという演出は初。復活祭メニューからウサギのパテ、伝統料理のポテトのパンケーキも初お目見え。すりおろしたじゃがいもとたまねぎ、卵、少量の小麦粉の生地を掌大に焼いた香ばしいケーキにサワークリームを添えて。イクラやサーモンもついてきたけれど、地元民によれば邪道らしい。 4月某日、ワルシャワから西へ50キロ(ガイドブックによっては60キロ)のショパンの生家がある村へ。撮影の合間にドライブ・インBon Voyageでズレック(ライ麦を発酵させた白濁スープ)とピエロギ。ズレックにはソーセージの輪切りとゆで卵が具として参加、ピエロギはゆでた後、ベーコン角切りをじっくり炒めたソースと絡めてある。具はキャベツ中心のキノコちょっと。生地がもちっとしていてまるで水餃子。夜はスシ店Art Sushiにて、ワカメ酢やチヂミと握り寿司を。ワルシャワはここ数年で和食屋が爆発的に増えたそうで、しかも、外国における和食としては高水準、メニューも和食のみならず中華、韓国と幅広い。さらに、同様に数多い中華料理店とともに、昼から夜まで通し営業というのが、ロケのような不規則労働に従事する者にはありがたい。 4月某日、時間がないので昼はホテルでツナサラダ、夜は打ち上げを中華Hong Kong Houseで。中国と日本以外の中華料理に見るものなし、の通念を覆す出来のいい春巻、麻婆豆腐、アスパラ炒めなどなど。りんごのあめがけはりんごが美味しい国ならではの瞠目の美味。 4月某日、先発隊が出国、居残り組でこぢんまりと、大食いファイターKちゃんのポーランドの友人お薦め、ポーランド料理の老舗U Fukieraへ。旧市街の広場に面したクラシックでラブリー系のインテリア、我々の隣ではインドの軍参謀とポーランドの軍人が会食するような格のある(?)店。豚足のゼリー寄せ、鴨のロースト、ハムの盛り合わせなど。ハム・ソーセージはほとんどが薫製で、これが結構美味しい。パンも美味しくて、ポーランドは思ったよりも美味しいものがあると認識。しかし、ワインは作っておらず、オイルも貧弱なのが至極残念。でも、温暖化のおかげで最近はワインを作り始めたというから、数年後にはワインも楽しめるのかも。今回のポーランド土産は、ハムとソーセージ、ライ麦のパン、ポテトパンケーキとブリニ。 取材の詳細は家庭画報7月号に掲載予定です。皆さん、チェックお願いいたします。 ところが今日、大統領専用機が墜落、大統領夫妻以下要人が悉く落命したと知り、身近に感じ始めたばかりの国故、少なからずショック。ご冥福をお祈りします。mnm

SAPORITAをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。