フライング速報、Olio nuovo
一気に寒くなった10月最終週、オリーブの収穫が始まった農園へ出かけてまいりました。輝くような緑のオリーブがたわわに実った枝は、その重みに耐えかねて、思いっきり枝垂れておりました。今年は冬から春先にかけて随分雨が多かったのですが、夏に巻き返し、無事に見事に育ったようです。良かった良かった。 先週のソレント半島では、かなり黒く熟した実の割合が多かったのですが、さすがトスカーナ、ほとんど緑のうちに収穫します。その主要品種はフラントイオ。オーバル型のやや大きめの粒です。もうちょっと色づいている丸く小粒なレッチーノやモライオーロを補完的に加えて粉砕、抽出、分離、濾過の工程を経て出来上がったそれは、昔、●庭●報で手がけた連載「宝石12ヶ月」で登場した上等級のエメラルドそのものの濃く透明なグリーン。なんか入れてるんじゃ?と思うくらい強烈な緑であります。 出来たてのEVオリーブオイルを試食。かなり苦い。辛みはそれほどでもないけれど、苦みが暴れてる感じ。もう少し落ち着くのを待った方がいいようです。ここでは抽出したオイルを寝かせた後でフィルターにかけていますが、作業している農家のおじさんがこっそり言うことには「俺は、フィルターにかける前のほうが好きだなぁ。そのほうがパワフルだから」。それもそうかもしれませんね。 今回あらためて思ったことは、絞りたて、という表現はちょっと違うなということ。伝統的な作り方では直接的な力を加えてプレスしていたから、絞る、という言葉は正しいと思うけれど、現代的な方法では遠心分離機による抽出なので、絞りたてではなく、抽出したて、が正しいのでは、と。でも、絞りたてのほうが美味しそうに聞こえるんですよね。mnm

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