フライング速報、Olio nuovo

一気に寒くなった10月最終週、オリーブの収穫が始まった農園へ出かけてまいりました。輝くような緑のオリーブがたわわに実った枝は、その重みに耐えかねて、思いっきり枝垂れておりました。今年は冬から春先にかけて随分雨が多かったのですが、夏に巻き返し、無事に見事に育ったようです。良かった良かった。
先週のソレント半島では、かなり黒く熟した実の割合が多かったのですが、さすがトスカーナ、ほとんど緑のうちに収穫します。その主要品種はフラントイオ。オーバル型のやや大きめの粒です。もうちょっと色づいている丸く小粒なレッチーノやモライオーロを補完的に加えて粉砕、抽出、分離、濾過の工程を経て出来上がったそれは、昔、●庭●報で手がけた連載「宝石12ヶ月」で登場した上等級のエメラルドそのものの濃く透明なグリーン。なんか入れてるんじゃ?と思うくらい強烈な緑であります。
出来たてのEVオリーブオイルを試食。かなり苦い。辛みはそれほどでもないけれど、苦みが暴れてる感じ。もう少し落ち着くのを待った方がいいようです。ここでは抽出したオイルを寝かせた後でフィルターにかけていますが、作業している農家のおじさんがこっそり言うことには「俺は、フィルターにかける前のほうが好きだなぁ。そのほうがパワフルだから」。それもそうかもしれませんね。
今回あらためて思ったことは、絞りたて、という表現はちょっと違うなということ。伝統的な作り方では直接的な力を加えてプレスしていたから、絞る、という言葉は正しいと思うけれど、現代的な方法では遠心分離機による抽出なので、絞りたてではなく、抽出したて、が正しいのでは、と。でも、絞りたてのほうが美味しそうに聞こえるんですよね。mnm
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初めまして。来年イタリア旅行を計画しております。20年ぐらい前に2度行っておりますが一度は仕事、もう一度も真夏の暑さに参りあまり観光したうちに入っておらず、しっかり事前に調べて歩き回りたいな~とたくらんでおります。
「フィレンツェ美食散歩 おいしいもの探しの四季の旅」を購入させていただき毎日眺めております。こちらのブログも時々お邪魔させていただきます。
Asai様
久しぶりのイタリアはすごく変わっているかもしれませんし、全然変わっていないかもしれません。どちらにしても、楽しい旅になりますようお祈りしています。まずは拙著でイメトレをしていただき、お戻りの際には忌憚のないご意見ご感想をお聞かせいただければ幸甚です。