祝、卒業旅行!S木嬢とともに週間食卓日記
11月某日 六本木の虎の穴、否、イタリア料理偏愛道場リストランテAモーレを上がり、現在卒業旅行中のS木嬢、フィレンツェ入り。ミラノ〜ピエモンテ〜ジェノヴァと回り、Pieve Ligureでジャンパオロ・ベッローニ匠より託されたワインを抱え来訪。お好み焼きで慰労会。 11月某日 ワインバーIl Santino@Firenzeにて、S木嬢、Buca dell’Orafo修行中のSトと合流、雨の中、Ruggero@Firenzeに向かう。焙らないトスカーナパンのcrostini、carciofi in tegameを前菜に、トマト不使用のmaccheroni al ragu、定番のspaghetti alla carrettiera、セコンドはbraciola con carciofi、crocchette di filetto con funghi、pollo della fattoria con patate。食後はcreme caramel、季節柄のcastagnaccio。スパゲッティはいつもどおりの麺固、農場でかけずりまわっていたという鶏は運動しすぎ気味。しかし、いつも本当に混んでいます。なぜでしょう? Bucaから移籍した料理人ミルコを帰りがけに捕まえてひと言二言。早く帰りたくてしかたなさそうでした。 帰りがけにart barで一杯。雨だからでしょうか、がらんと空いていました。 11月某日 雨もようやく上がって、Sostanza@Firenze。かなり久しぶり。前回訪店はいつだったか記憶も曖昧模糊。年々胃袋の許容量が減少し、crostinoの後はpetto di pollo al burroとbietolineでお茶を濁す私を尻目に、前菜tortino di carciofi、プリモpasta al ragu、セコンドbisteccaを平らげるS木嬢。しかも、私が持て余した鶏肉も引き受け、締めはもちろんクリームたっぷりのmeringa。「その小さな体のどこに入るんだ」と店のおじさん、頭を下げて拝んでおりました。 帰りがけにSan Carloで一杯。グラッパの後にスプマンテという逆流コースに走ってしまいました。 11月某日 昼に1人Gozzi@FirenzeをしたS木嬢、午後は我が家で情報収集に勤しみ、夕食の時間になるやいなやVinaino@Firenzeへ。いつもの前菜sott’oli della nonna con tante cipollineで軽く、と思ったら、「今日はmelanzane alla parmigianaがあります」のひと言で、「あ、それもお願いします」とS木嬢。プリモはそれぞれspaghetti alla carrettiera(今日のはまた、ばりにんにく効いてたんよ)、セコンドはS木嬢のみarista。con ossoとあったのに、やってきたのはsenza。まぁよくあることです。締めは迷った末にzuccotto。これまた、ばりアルケルメス。ピンク色のお酒の海から「私、湿った菓子苦手なんで」と菓子をサルベージしておりました。 11月某日 まだSant’Ambrogioの市場は未体験というので、昼にCapezzanaの新オイル発表会がCibreoにあるからついでに、と出かけました。チョコレート工房Andrea Bianchiniにてmaisのビスケットを購入後、「チョコを一つだけ買う」と言うと、試食ということでタダ。S木嬢、finocchio e arancia、私はcaramella al sale。「あんまり香りないっすね」とのこと。 Cibreo@Firenzeでは、コンティーニ・ボナコッシ伯爵と同卓に。このおじさま、本当に良いかたです。正しく貴族な感じの。スキー歴80年。「今年はどうしようかな」と迷っておられました。いつまでもお元気で。 前菜はお馴染みのgelatina al pomodoroやトリッパサラダなど10種類近くがぱらぱらとテーブルにばらまかれ、適当に好みのものをついばみます。パンにのせて手でつぶして食べるようにと指示された生サルシッチャが秀逸でした。しかし、食べ過ぎ禁物、お腹壊します。プリモはpolenta、ごくごく滑らかなfarinata(カーヴォロ・ネーロ入り)。オプションでサルシッチャ入り野菜のズッパ。セコンドは、ファビオ・ピッキが口頭で告げた10種類ほどの中からセレクト。口頭でこれだけ言われると最初のほうと最後は覚えていられても、中間が抜けてしまいます。「4番目の、なんでしたっけ?」と聞いたら、「じゃ、あんたはそれ」と逆に決められてしまいました。お客に命令できるのもファビオだけです。ともあれ、その4番目の皿は、ハーブマヨネーズを添えたカルパッチョで、野草のようなラディッキオを巻いていただきます。「韓国の焼き肉みたいにして食え」とファビオ。そうだっけ? 肝心の新オイルは強烈なキャラのファビオの前ではかすんでしまいましたが、その激しく輝く緑色にS木嬢は「ひゃぁ〜」とたまげておりました。日本へはどんなに急いで送ってもこの新オイルの濃い緑色はどうしたって薄れてしまうのです。オイルは色じゃないとわかっていても、この色見ちゃうとだめですね、ひきずられます。 11月某日 ガルガ銀座店オープン記念トスカーナ旅行でいらしたご一行がオリーブオイル製造所を訪ねるのに乗っかってルッカヘ。そこはビオディナミを実践する農園。学者のような風貌の主ピエロ自身もビオディナミ、自然に任せた出で立ちが首尾一貫を主張しています。日本ではビオディナミや自然派が非常にウケていますが、ややもすると味は二の次三の次といった行き過ぎた風潮も見られることについて、ピエロは「より美味しいものを求めていったら、より自然であるほうがいいと気づいたんだ。その方法として、ビオディナミを選んだ。ビオディナミそのものが目標ではない」と。自然だからいい、ではなく、美味しさを求めたら自然だった、ということですね。試飲したオリーブオイルは、先日の抽出したてのオリーブオイル同様、苦みが非常に強い。「去年は甘く繊細だったから、今年は辛く力強くしている」とか。搾油と練り工程の微妙な加減で味は自在に変えられるのだそうです。へぇぇ。 11月某日 前日同様、ガルガ銀座店ご一行様とともに、ガルガ・フィレンツェ店で夕食。連日のトスカーナご馳走攻めで皆さんややお疲れ気味につき、かる〜く、ポルチーニのソテーとガルガ・サラダで始め、spaghetti alla bottarga(からすみ)、spaghetti alla Donna Karan(エビ入り柑橘風味トマトソース)、fettucine al Magnifico(柑橘風味のクリームソース)、fettucine alla Vigliacca(辛いトマトソース)、セコンドはお印程度にcarpaccio con rucola e parmigiano、デザートはチーズケーキとチョコレートケーキでした。ご一行の中に漫画家がいらっしゃり、何かお店をやりたいのだという話から、マンガ・バールはどうですか?と提案。イタリアでやったらバカ受けだと思うんですが。どんなものでしょう?mnmSAPORITAをもっと見る
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