ローマのスペイン人女性シェフ、アルバ Marzapane@ROMA
イタリアのレストランは日曜日、あるいは月曜日休みのところが多いが、ローマのテルミニ駅から来るまで5分ほどの場所にある「マルザパーネ Marzapane」はその両日ともなると休日の食事を楽しみに来る料理人、ソムリエなど料理関係者で逆ににぎわうという。彼らの目当てはというと、いま話題のスペイン人女性シェフ、若干24才アルバ・エステベ・ルイスの料理である。 アルバとは今年6月にサルデーニャで行われたマグロのイベントGirotonnoで審査員を務めた際に知りあった。その時アルバはスペイン代表として大会に参加し、予選では日本代表ICHIKAWAシェフの侍バーガーと対決。僅差で敗れはしたもののICHIKAWAシェフは2015年ミシュランで1つ星を獲得。一方アルバは2014年度Gambero Rossoの最優秀若手料理人「Chef Emergente」に選ばれており、2015年ミシュランで1つ星獲得はならなかったものの、各種イベントにもひっぱりだこで現在大人気、若手女性料理人としてはイタリアで最注目の存在である。 バルセロナ近郊ジローナにある3つ星「カン・ロカ」でキャリアを積んだアルバがローマにもたらしたのは、ここ数年イタリアが追随し、目指していたスペイン人ならでは斬新な感覚とクリエイティビティ。グアルティロ・マルケージらが活躍した80年代、イタリア人シェフが修行するのはフランスのグラン・メゾンであり、かのマルケージはトロワグロで研鑽を積んだ。2000年代に世界の注目がスペイン・ガストロノミーに集まりはじめミシュラン3つ星の数でイタリアがスペインに抜かると、イタリア人料理人は危機感を持ってスペインの技術と感覚に注目するようになった。現在、スペイン帰りのイタリア人料理人が開くレストランが続々と誕生しているが、スペイン人シェフのレストランはまだあまりない。そうした意味でもアルバの存在と仕事ぶりは、「スパニッシュ・インヴェージョン」とも呼べる脅威を興味を持って、イタリアの料理界に刺激を与え続けているのである。 写真の料理は牛肉のバットゥータ、レモン風味のカチョカヴァッロ、野菜の庭園€15.00と題したアンティパストはGirotonnoでのアルバの作品を思いださせる盛りつけとコンビネーション。続いてアンコウと薫製ジャガイモのカッペッレッティ€17.00は煙とともに登場。あわせるならシングル・モルトか。セコンドはセクレート・ディ・マイアーレ・イベリコ€18.00、スペインのバル巡りをした経験がある方ならご存知、イベリコ豚の肩ロース肉の低温調理で柔らかく仕上げた。カルボナーラ、アマトリチャーナだけがローマではないことを再確認させてくれる時間と空間。SAPORITAをもっと見る
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