フィレンツェ美食散歩07 カッミッロ
ポンテ・ヴェッキオからわずかの距離にある「カッミッロ」もまた、激動の時代を生き抜き、フィレンツェ・レストラン史の変遷を見守って来た老舗の一軒である。第二次大戦中に食料品店として創業したものの爆撃を受け、現在の場所に移転したのが1945年。以来60年あまり、店も古ければスタッフも古い。金属20年など序の口で40年クラスの超ベテラン・カメリエーレもいる。厨房も昔のままならメニューもそのまま。 なかでも気になるのは一連の「カレー」メニューなのだが、これは当時ヴェネツィア方面で流行っていた料理を創業者カッミッロが取り入れたもので半世紀経ってもまだメニューにある。後に「カッミッロ」で修行したランベルトが開く「ブカ・デッロラフォ」のメニューにも、実はこうしたカレー料理があるのだ。 こうした老舗料理店に残る温故知新の料理は、戦後間もないフィレンツェの味をかみしめるにはまだとない機会でもある。バターや生クリームを使った料理が多いのも一昔前のイタリア料理店の特徴。イマドキのイタリア料理には背を向ける、昨日今日イタリア料理を食べ始めたわけではない猛者には懐かしくなること請け合いの味。Borgo San Jacopo 57R, 50125, Florence, Italy +39 055 212427
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