フィレンツェ美食散歩11トレ・パンケ
フィレンツェは、徒歩で回れる中心地にレストランが多く集まっている。だが、その実態は玉石混淆で、いい店とそうでない店に当たる確率は半々といったところだろうか。食事も大きな楽しみである旅において、“そうでない店”にはなるべく当たりたくない。できれば、“すごくいい店”に行きたい。それが少々遠くであっても。 中央駅から10番のバスに乗り十五分。降りた停留所のすぐ前にある「トレ・パンケ」はその名が示すとおり、三つの長テープルしかない、ごく小さな店だ。昼は界隈の勤め人、夜はフィレンツェ住民に混じって、意外なことにアメリカ人客が多い。その理由は、トリュフ料理が通年あること、そして、料理全般の骨格がしっかりしていること。 店を切り盛りするのはサービスのサヴェリオと厨房のエリザベッタ夫妻。かつて名店と謳われた「ココ・トリッポーネ」を経て独立、この「トレ・パンケ」を引き継いだ。彼らの代となってからはメニューが俄然増え、しかしそれをすべてエリザベッタがこなすというから驚く。 店の佇まい、そして料理から感じるのは心地よい緊張感。さぁ食べるぞという意気込みをけして裏切らない、わざわざ足をのばす価値ある店である。 Via A.Pacinotti, 32r Firenze 055-583724 12:00~15:00 19:30~23:30 日曜 祝日SAPORITAをもっと見る
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