フィレンツェ美食散歩13 イノ
二〇〇二年のユーロ通貨導入以降インフレが進み、物価が見る見るうちに上がってしまったイタリア。人々はより安いものを求めるようになり、安くてお腹いっぱいになるケバブなどエスニックのファストフード店が街のあちこちに現れた。この状況に警鐘を鳴らすかのように、二〇〇六年の終わりに誕生したのが「イーノ」、イタリア各地の優れた食材を集めたボッテガ(店)である。 オーナーのアレッサンドロ・フラッスィカは、知己の料理人から情報を集め、生産者を訪ねてその信条と生産現場を確かめ、自分で納得した食材しか扱わない。稀少なバッカ・ロッサ(赤牛)の乳から作るパルミジャーノ、ポルケッタ(仔豚の丸焼き)のように仕立てたマグロのローストハムなど、余所ではなかなかお目にかかれない食品ばかりだ。ぜひ試したい!というわけで、パニーノにしてもらう。具の組み合わせは自由だが、アレッサンドロが試作した結果、“良し”となった例が壁に貼り出されているので、その中から選んだ方が間違いがない。パニーノ一つにグラスワインが一杯つく。パニーノとワインを味わいつつ店内の食品を眺め、さて何を買おうかな、と。これぞ、至福のひとときである。 Via dei Georgofili, 3r/7r Firenze 055-219208 11:00~20:00 日曜12:00~17:00 無休 www.ino-firenze.com

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