フィレンツェ美食散歩22 パーネ・エ・ヴィーノ
1980年代半ば、イタリアがクォリティワイン時代を迎え、より上質なワインを生産者も消費者も求め出した頃に「パーネ・エ・ヴィーノ」は誕生した。目的は「まだ知られていない高品質ワインとそれに見合った料理を提供する」こと。トスカーナ伝統料理と菰被りキャンティワインが主流だったフィレンツェのレストラン界では初の試みだったという。珍しいワインを集めるのは実はそう難しくはない。情報はネットを通じて瞬時に行き渡るし、ガイドブックも充実している。ところが料理はそうはいかない。美味しい料理とは何なのかを理解し、それを実現するセンスが重要だからだ。店主ジルベルトは言う。「上質な素材、確かなテクニック、そしてDNAが記憶している美味しさという感覚、この三つが必要だ」と。超レアなワインを求めるのもいいけれど、ここでは店主に気分を伝えてワインをセレクトしてもらい、自分はメニュー選びに専念するというのが最良の使い方。エチケットからそのワインを想像するのは叶わなくても、料理名や素材から食べたいものは見えてくる。そしてそれがセンスをもって料理されるのなら、言うことはない。気の置けない店とは、そういうものである。 「ファゴッティーノ・ディ・パスタフレスカ・リピエーノ・ディ・ブラータ」。本当はもっと長い名前だが、要はブラータ(モッツァレッラに似たチーズ)を包んだ自家製パスタ。₡12 「コンポズツィオーネ・ディ・カルチョーフィ」は、揚げたり、ソースをあしらったりと、3変化させたアーティチョークの盛り合わせ。ワインが進むセコンド。₡16 「アンティパスト・ミスト・スティーレ・ハッピーアワー」。前菜の盛り合わせを、巷で流行のハッピーアワー(バールの夕方のサービスタイム)を模してフィンガフード仕立てに。₡12
Piazza di Cestello, 3r Firenze
055-2476956
19:30〜23:30 日曜
www.ristorantepaneevino.it
現在は閉店

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