TASTE2018速報
毎年恒例、フィレンツェでこの時期に開催される食の見本市「TASTE=テイスト」が2018年3月10〜12日にかけて行われた。会場は例年通りカッシーネ公園近くにあるスタツィオーネ・レオポルダで運営はピッティ・イマジネ。早いもので今年で13回になるTASTEは流石に出店者も来場者も慣れたもので、毎年同じ場所に出店しているケースも多い。入り口でプレス登録をすませたらまずはワードローブにコートを預けて、テイスティング用のワイングラスを5ユーロのデポジットでレンタル、そして最初にあるのはマテーラのパン、という流れも同じ。違う点といえば今年からプレス用カタログの配布がなくなったことか。 初日にしては例年の混雑ぶりがかなり緩和されたように感じたが、終了後にピッティ・イマジネから発表された統計では、今年の来場者は1万6000人と過去最高。有料化にも関わらず1万人超がバイヤーでもプレスでもない有料入場者だったということで食への関心が高いフーディーズの存在が顕著なのもひとつの特徴か。なにせ会場内に並んでいるのは珍品奇品、レア食材が満載。日本にはいまだ入って来ていない幻のサラミやチーズなども多く今回は400社が出展した。日本からのバイヤーの参加は対前年比+33%と相変わらずイタリア食材への関心の高さがうかがえる。 今回気になった食材をいくつか。まずはモデナ山中にある老舗チーズ工房「Malandrone1477」でパルミジャーノ・レッジャーノ48ケ月、60ケ月、72ケ月、144ケ月を試食。144ケ月=12年熟成は確かに珍品だが、パルミジャーノとしてのコンディションがよいのは最大でも60ケ月までではないか、と再認識。 サレルノにあるドライハーブ専門の「Elody」はバジリコ、プレッツェーモロなどのセミドライハーブを出品。盛り付けのフィニッシュに使うというよりも調理使いを提案。ドライハーブは色が悪いという欠点を補う新商品。 サン・ダニエレのプロシュット・メーカー「La Glacere」ではプロシュット・クルードと燻製をかけたアッフミカートを2種試食。他の地域に比べると豚の質の良さと綺麗な脂の上品さが際立つ。塩はやや強め。 秀逸だったのはシチリアのキアラモンテから来たサルーミ専門工房「Salumificio Il Chiaramontino」のサラミ各種。シチリアのブランド黒豚、スイーノ・ディ・ネブロディを使った各種サラミやロバのサラミなどなど。肉質が上品で豚の旨さがダイレクトに伝わる逸品。特にスイーノ・ディ・ネブロディのモルタデッラはまさに最高品質で、これを知ると化学調味料や脂を感じる工業製品のモルタデッラには戻れなくなる。 チーズで素晴らしかったのはグロッセートにあるチーズ工房「Il Fiorino」のペコリーノ、Riserva del Fondatore。同社はGambero Rossoはじめすでに多くの賞を受賞しているが、このペコリーノは目うろこの衝撃。いままで食べて来たペコリーノは一体何だったのか?過去を恥じること必須。機会があれば是非口にしてもらいたい。 アブルッツオから毎年珍品Ventricina di Enricoを出品しているサラミ工房「Fracassa」ではその珍品を試食。唐辛子まぜた豚挽肉を豚の胃袋で熟成させたVentricina di EnricoはカラブリアのNdujaにくらべると唐辛子もマイルドで豚の肉質そのものを味わえる。アブルッツォの豚文化の一端が垣間見える珍品。 プロシュット・ディ・パルマが素晴らしかったのは「Casa Graziano」で、プロシュット・ディ・パルマとクラッタと呼ばれる豚モモ肉の上等の部分を豚の膀胱に詰めて熟成させた生ハムはいずれも上品で口どけも香りも良い極上品。 チェターラから毎年出展しているレストラン「Acqua Pazza」は自家製のイワシの魚醤コラトゥーラ・ディ・アリーチを出展しているがこれはあいかわらずの極上品。伝統的な小瓶ではなく、スポイト形式なのも料理のフィニッシュに非加熱で使う、というコラトゥーラの性格上非常に使い勝手が良い。 その他数多くのサルーミ、チーズ、ワイン、クラフトビールなどを試食、試飲したが今年のベスト3をあげるなら以下の通りか。
1位 Il Fiorinoのペコリーノ、Riserva del Fondatore 
2位 Salumificio IL Chiaramontinoのスイーノ・ディ・ネブロディのモルタデッラ 
3位 Acqua Pazzaのコラトゥーラ・ディ・アリーチ 

ちなみに次回TASTEAは2019年3月9日〜11日予定。 
www.pittimmagine.com/en/corporate/fairs/taste.html

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