フィレンツェ発、注目のガストロノミー「エッセンツィアーレ」
「フィレンツェでいま新しくて注目のレストランは?」と聞かれることがよくあるが、最近では「エッセンツィアーレ」と答えることにしている。「エッセンツィアーレ」とはイタリア語で本質=エッセンスという意味。2016年9月に4人の協同経営者がその店名に思いを込めてオープンした。シェフを務めるのは協同経営者の一人でもあるシモーネ・チプリアーニ。16才で料理の道を志し、現在32才だがすでにこの世界ではベテランの域。スペインはじめ世界各地で最先端の技術と料理思考を学び、フィレンツェに戻ってからはすでに以前いたレストランにミシュラン1つ星をもたらしている。 シモーネたちが打ち出したコンセプトは店が客をもてなすというレストランの本質に立ち返ること。店内はかつてトラックの配送所だった場所を改装、一段高い荷揚げスペースは現在シモーネが料理を仕上げる、見せるキッチンとなっている。パリのトレンドがネオ・ビストロなら、「エッセンツィアーレ」のスタイルは「ネオ・オステリア」と言い換えてもいい。本来「オステ」とは客をもてなし主人という意味。料理は伝統的トスカーナ料理を再解釈したハイ・エンド・キュジーヌだが、サービスは本来イタリアの食堂であるオステリアのような人間味あふれるもてなしを追求。実際「エッセンツィアーレ」ではサービス・スタッフはひとりだけで、出来上がった料理はシモーネはじめ料理スタッフが自らは運び説明する。ゲストからみれば、料理人が直に説明してくれて、会話を交わすことができるのだ。 シモーネが提案する料理はこんなラインナップ。まず前菜は「イチゴとフランボワーズ、牛肉のタルタル Battuta Fragola e Lampone」。タルタルは本来パリのビストロはじめ、トラットリアの定番メニューだが、そこはシモーネ風にアレンジ。セルクルで綺麗に整えたタルタルのトッピングはフリーズドライのフランボワーズ、ポロねぎ、しそのスプラウトそしてなんとイチゴ。ヴィネガーの代わりにイチゴとフランボワーズで酸味を加え、マスタードとわさびクリームで味を締める。甘みと酸味の組み合わせは、イタリア伝統の「アグロドルチェ」というコンセプト。
Ristorante Essenziale Piazza Cestello,3r FIRENZE Tel055-2476956 19:00〜22:00 月休 www.essenziale.me
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