フランチャコルタとArs Italicaのキャビア
世界イタリア料理週間期間の2018年11月21日、フランチャコルタ協会主催によるパーティ「フランチャコルタデイ」が在日イタリア大使館にて行われた。ここ数年前年比+15%平均で日本国内の売り上げを伸ばしているフランチャコルタの存在感をあらためて際立たせるイベントにはジョルジョ・スタラーチェ・イタリア大使以下、関係者が数多く出席。イタリア本国からはフランチャコルタ協会の会長も兼任する「ベラヴィスタ」のヴィットリオ・モレッティ会長、「カ・デル・ボスコ」のマウリティオ・ザネッラ氏というフランチャコルタのビッグ2も来日。会場には両社のフランチャコルタはじめ、UBERTI、FERGHETTINA、VIGNA DORATAなど20社近いメーカーのフランチャコルタがずらりと並ぶ幕開けとなった。 この夜の料理は「イル・ギオットーネ」の笹島保弘シェフが担当。フィンガーフード、パルミジャーノのリゾット、ティラミスなどが提供されたが圧巻だったのはARS ITALICA社のキャビア食べ放題だった。シャンパーニュ同様、フランチャコルタにはキャビアがあうがARS ITALICA社はフランチャコルタに近いブレシア県カルヴィザーノ(ラテン語でカルヴィシウス Calvisius)で生産されている。この夜はオシェトラとダ・ヴィンチの2種類がそれぞれ1kg缶で登場。前者はMar Caspio, Mar Nero, Mar d’Azovの3種のチョウザメから取れる卵を使用、後者はAdriatico Acipenser neccarii種の卵から作ったキャビアで、特筆すべきはダ・ヴィンチ。ヘーゼルナッツに似た香ばしいナッツ香と豊満なヨード香、皮も柔らかくシルキーで極上の舌触りだった。これに「ベッラヴィスタ」のアルマ・グラン・キュヴェと「カ・デル・ボスコ」のキュヴェ・プレステージを交互にあわせると止まらない。フランチャコルタにあわせるならパスタかパルミジャーノかプロシュット、あるいはクラテッロか?という命題がいつも話題になるが、その究極形は産地あわせでいけばブレシアのキャビア、しかもマルケージのような冷製キャビアのスパゲッティであればその相性は完璧であろう。日本におけるフランチャコルタの可能性はまだまだ発展途中にあり、キャビアの他にウニやイクラなど日本の豊かな魚卵系と組み合わせれば新たなイタリアン・ガストロノミーの道を切り開き続けるのではないだろうか。

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