Latteria San Marco@MILANO
ミラノでトラディショナルな老舗料理店を探すのはなかなか容易ではない。しかしブレラ地区にある「ラッテリア・サン・マルコ」は1965年の創業以来味のあるマリアとアルトゥーロ夫妻が経営、半世紀以上常連客に愛されている店である。ある日の昼間に通りがかり、今晩席が取れるか聞いてみると「予約は取らない、だけど早めにくれば大丈夫だよ」というので夜の営業開始前の19:30前を目指したが仕事が終わらず、ようやく再び店にたどりついたのは21時過ぎ、しかしちょうど1回転目が終わったところだったのか店の一番奥の席に着くことができた。 この店の前菜は基本的に各種サルーミ、あるいはフォワグラかボッタルガサラダのみ。「ブレザオラ」と「コッパ・ピアチェンティーナ」を頼み、ハウスワインとともにこれをつまみながらその後の注文を考える。「レモンと青唐辛子、プレッツェーモロのスパゲッティ」は刻んだレモンの皮、ニンニク、青唐辛子をきかせた爽やかだけれどパンチがある「ラッテリア」の名物。さらにレモンとアンチョビをきかせた「プンタレッレ」のサラダと「アルトゥーロ風、レモン風味のファッソーネ牛のポルペッティーネ」「グンアチャリーノ・ボッリート、アルトゥーロ風のサルサ・ヴェルドゥーラ」、どちらも見た目通りの全くの家庭料理だが、食べ飽きない、食べ疲れないというのはこういう料理なのだろうと思う。さらに「バター卵とボッタルガ」を頼むが、これはバターで目玉焼きにした卵にボッタルガをトッピングしたもの。卵と魚卵、バターの相性はいうまでもないが、おそらくはこれも家庭で真似しやすい料理。いわゆる典型的なミラノ料理である「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」あるいは「コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ」「オッソブーコ」などはメニューにないのがこの店の特徴でもある。いわばそうした高級ミラノ料理は他の店にまかせ、正真正銘のミラノ家庭料理のみを出すのが「ラッテリア」で、美食や濃厚ミラノ料理、あるいはミラノのファイン・ダイニングに飽きた人向け。SAPORITAをもっと見る
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