イタリア・サルーミ図鑑2 Coppa, Pancetta, Speck
コッパ 甘口で芳しいコッパと、力強く刺激的なカポコッロ
豚の肩肉を使ったインサッカーティで、地方によってはカポコッロCapocollo、カピコッロCapicollo、ロンツァLonzaなどと呼ばれる。エミリア・ロマーニャ州のパルマ、ピアチェンツァで作られるコッパ・ディ・パルマIGP、コッパ・ピアチェンティーナDOPは甘口と表現され、素材の風味をいかした最小限の熟成と塩、スパイスが特徴。豚の腸に詰めた後前者は4〜6ケ月、後者は6ケ月熟成させる。カラブリア州で作られるカポコッロ・ディ・カラブリアDOPは唐辛子を加え、100日以上熟成させる。南米原産の唐辛子をカラブリアに持ち込んだのはサラセン人で、17世紀にはすでにカラブリアは唐辛子の産地として有名だった。カポコッロ・ディ・カラブリアDOPはじめ、ソップレッサータ・ディ・カラブリアDOP、サルシッチャ・ディ・カラブリアDOP、ンドゥイヤなどサルーミの保存には唐辛子が欠かせない。また日常の食卓にも唐辛子料理は頻繁に登場し、その消費量はイタリア一である。パンチェッタ イタリア全土で作られる豚バラ肉の塩漬け
パンチェッタとは本来豚バラ肉を意味するが、バラ肉を使ったサルーミもパンチェッタと呼ばれイタリ全土で古くから作られている。皮の有無、薫製の有無、筒状、板状、棒で固定するなど地方ごとにそのバリエーションも豊か。代表的なものにパンチェッタ・ディ・カラブリアDOP、パンチェッタ・ピアチェンティーナDOPがあり、その特徴はコッパに準じるがともにそのまま薄切りにして食べるタイプ。一方一般的なパンチェッタは加熱して料理に用いることが多い。カルボナーラやアマトリチャーナにはパンチェッタ、あるいは豚頬肉を使ったグアンチャーレが欠かせないし、味出しに多くの料理に使われる。よくベーコンと比較されるがベーコンは豚バラ肉、もしくは背肉を蒸した後薫製して作るのに比べ、パンチェッタは独特の熟成香が最大の持ち味であり、豚の旨さを最大限引き出したサルーミである。スペック 南チロルを代表する香り高いスペック
北イタリア、南チロルに属するアルト・アディジェ地方で作られるスペック、正式にはスペック・デッル・アルト・アディジェIGP。その歴史は古くこの地方では1200年代から作られていた。スペックとはドイツ語で「豚の脂」という意味だが、これはこの地方がイタリアに帰属したのは第一次世界大戦後であり、元々ドイツ語圏だったから。州都ボルツァーノではいまもイタリア語とドイツの2ケ国語が標準語として使われている。チロル地方では伝統的にクリスマス時期に豚を屠り、各家庭ごとにスペックを作っていた。豚腿肉の骨を外して成形し、塩胡椒、ローズマリー、ネズの実、ローリエなどで調味。軽く薫製してから22週間以上熟成させて作る。軽い薫香とハーブ、そして豚の熟成香が織りなす独特の芳香はイタリアを代表する香り高いサルーミであり、この地方での軽食の定番はパンとスペックとワインという組み合わせである。SAPORITAをもっと見る
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