イタリア・サルーミ図鑑3 Salame
サラーメ イタリア全国で作られるバリエーション豊かな肉製品
サラーメとはいわゆるサラミ類の総称のこと。製法におけるサルーミの分類はまずプロシュット・クルードのような「ペッツォ・インテーロ=一体型」と「インサッカーティ=詰め物型」に大別される。さらにそれぞれ加熱、薫製、発酵などの有無で多くのタイプに分類されるが、サラーメとは非加熱で熟成、発酵したインサッカーティであり、加熱処理したモルタデッラやコテキーノ、一体型のラルドやパンチェッタはサラーメには分類されない。サラーメの原料となるのは豚をはじめ牛、山羊、羊、馬、ロバ、ガチョウ、猪などの肉、および内臓、また地域ごとに熟成方法やスパイス、ハーブの使用法で多くのバリエーションがある。 西ローマ帝国崩壊後、1861年に再統一されるまで1400年以上にわたり小国家分裂状態だったイタリアは、その長い分裂状態が現在のように豊かな食物多様性を生み出した。各地方ごとの風土と食文化が色濃く反映されているのが典型例がパスタ、チーズ、そしてサラーメである。ローマ時代には豚の腿肉を使ったプロシュットが最上とされハレの場で食されたが、農村部では豚の全てを使って保存食とし、サラーメやパンチェッタなどは村の重要な産物として通貨の代わりとなっていた。12世紀以降イタリア各地で食肉生産者組合が作られるようになり、イタリア各地で作られているサラーメ類の製法を定義し、伝統を守る素地が出来上がったのである。 イタリアを代表するサラーメには、まずパルマ近郊で作られる「サラーメ・フェリーノIGP」がある。これは豚肉に塩、胡椒、少量のニンニクを加え10日ほど熟成させた小型で半生タイプの香り高いサラーメだ。バイオリンで有名なクレモナで作られる「サラーメ・クレモナIGP」はよくニンニクが強く5週間以上熟成させて作る。肉質がタイトで強い香りと味わいが持ち味。コッパで有名なピアチェンツァでは「サラーメ・ピアチェンティーノDOP」が作られている。これは豚肉に塩、胡椒、ワインを加え大きめの脂が特徴。フェリーノが女性的ならばピアチェンティーノは力強い男性的なサラーメだ。これはすべてサルーミ王国、エミリア地方の特産だが、南イタリアでもサラーメは作られている。沿岸部は温暖だが山岳部は寒さ厳しいカラブリアには「ソップレッサータ・ディ・カラブリアDOP」がある。これは豚肉、塩、黒胡椒、フェンネルシード、唐辛子を加えて熟成させたもの。唐辛子はカラブリアを代表する食材で、サラーメはじめ保存食にも多く使われている。サラミ博物館
近年エミリア・ロマーニャ地方では美食と観光を結びつける動きが盛んだが、パルマ近郊のフェリーノ城の中には「サラーメ・ディ・フェリーノ博物館」がある。内部では「サラーメ・ディ・フェリーノ」の歴史から製造法などが学べるが、特にインサカッーティ技術はフェリーノの自慢で巨大なインサッカーティの機械が展示されている。 salamedifelino.museidelcibo.itSAPORITAをもっと見る
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