イタリア・サルーミ図鑑4 Lardo, Finocchiona, Ciauscolo
ラルド 石工たちの栄養源が現在はイタリアを代表する珍味に
ラルドとは豚の背脂を塩胡椒、ハーブなどで調味、熟成させたもの。代表的なラルドとしてトスカーナ産のラルド・ディ・コロンナータIGPとヴァッレ・ダオスタ州のラルド・ダルナッドDOPがある。ローカルな希少食材であったラルドの名を一躍有名にしたのがラルド・ディ・コロンナータで、これは大理石の山を掘る石工たちが保存食として食べていたもの。温度変化が少ない大理石の桶に豚の脂、塩胡椒、ローズマリー、セージなどのハーブを漬け込んで6〜10ケ月熟成。かつてはハイカロリーゆえに石工たちの貴重な栄養源だったが、スローフード興隆を期に希少食材が再評価され、現在は美食家垂涎の的となっている。後者はフランス国境に位置するヴァッレ・ダオスタ州の希少食材。ともに山の中の厳しい気候で作られて来た伝統がある。脂ゆえに加熱するとほとんど溶けてしまうので、薄くスライスして食べるか、パンの上に乗せ軽くあぶって食べるのが最上とされる。フィノッキオーナ トスカーナのクチーナ・ポーヴェラを代表する
トスカーナ州を代表するIGPで、豚挽肉、フェンネルシード、赤ワインで作るインサッカーティ。フィノッキオ(=フェンネル)を多く使い、その味わいの決め手となっていることからその名がついた。フィレンツェ周辺では中世の頃から作られており、美食家としても知られる「君主論」の著者ニッコロ・マキャベッリはフィノッキオーナが大好物だった。フィノッキオーナは骨の回りの肉や頬肉など、生ハムやサラミには使わないような残りの肉を集めて作られたもので、リボッリータやパッパ・アル・ポモドーロに代表されるトスカーナのクチーナ・ポーヴェラ(質素な料理)の典型でもある。また、かつてキャンティ地区のワイン農家は客が試飲する際にフィノッキオーナを食べさせていたが、これはフェンネルの強い香りでワインの味を分からなくするためだった。インフィノッキアーレ(=だます)という言葉はこの逸話に由来する。チャウスコロ 現地でしか出会えないマイルドタイプのレア・サルーミ
ローマ時代から作られているといわれるマルケ州のインサッカーティ。現存する最古の記録では1696年、食料品店の在庫表にその名が見られる。腿肉、肩肉、バラ肉、背脂など本来売り物にならない半端肉を集め、塩胡椒、白ワイン、ニンニク、フェンネル、オレンジの皮などで調味。冷蔵したあと二度挽きしてから15日ほど熟成させただけなので非常に柔らかく、脂肪分が30〜50%をしめる半生タイプのサルーミ。生食タイプでニンニクのやハーブの強い香りが特徴で、豚肉本来が持つ香りを全面に出している。チャウスコロIGPはマルケ州のマチェラータ、アスコリ・ピチェーノなどで作られており、地方によってチャブスコロともいう。SAPORITAをもっと見る
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