イタリア・サルーミ図鑑7 Cotechino, Zampone
コテキーノ 新年を祝う伝統的インサッカーティ
コテキーノとは豚の脂や腱、足、皮など本来売り物にならない正肉以外の部分を腸詰めにしたイン サッカーティ。豚王国モデナではコテキーノ・モデナIGPが作られており、方言ではコデギンCodeghinと呼ばれることもある。その紀元はフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州ともいわれ、豚の舌や鼻を腸詰めにした「ムゼット」などよく似た料理も多い。その語源は豚の皮を意味する「コテーカ」(現代イタリア語では「コテンナ」)で、塩コショウ、ワイン、ハーブ、スパイスなどで調味し、腸詰めにする。生タイプ、加熱済み両方市販されている。脂やクセが強いので伝統的には皮に数カ所穴を開け、布巾で包んでから数時間湯を変えながら茹でる。調理には非常に手間のかかる料理である。イタリアにはコテキーノ、またはザンポーネはレンズ豆と一緒に大晦日に食べる習慣がある。これはレンズ豆を お金に見立てた縁起担ぎで、元来はユダヤ教の風習に由来する。コテキーノやザンポーネに縁起的意味合いはなく、農家のごちそうとしてレンズ豆と一緒に食べながら新年の幸運を祈願した。ザンポーネ 16世紀に誕生した豚足の詰め物
コテキーノと同様の詰め物を使ったインサッカーティだが豚の腸でなく、豚足に詰める。クレモナやマントヴァなどでも作られているがザンポーネ・モデナIGPを生産するモデナが本場。1510年から1511年にかけて法王ユリウス2世がモデナ近郊の町ミランドラを包囲したとき、モデナの人々は豚を略奪されるのを恐れ、全て屠ふってサルーミとした。その時わずかな肉もかき集めて豚足に詰めたのがザンポーネの誕生である。同じくモデナ近郊の小村カステルヌオーヴォ・ランゴーネでは毎年ギネス記録に挑戦する特大ザンポーネを作ってクリスマスを祝うイベントがあり、現在のギネス記録は2014年に作られた1038kg。こうした特大ザンポーネは「スーペル・ザンポーネ」と呼ばれ、専用の器具ザンポニエラで加熱調理する。聖母マリアがキリストをみごもった12月8日無原罪の御宿りの祝日には、同村では子供たちがスーペルザンポーネをカットし、住民に配ってともにクリスマスの訪れを祝うのが恒例となっている。 コラム:イタリアのクリスマス料理 イタリアも日本のおせち料理同様、クリスマスから新年にかけて食べる祝いの料理がある。代表的なザンポーネとコテキーノの他には去勢鶏(カッポーネ)を使ったトルテッリーニ、あるいはパッサテッリ・イン・ブロード、ラザーニャ、北イタリアでは豚すね肉のロースト、カネーデルリ、ポレンタ、そして食後はやはり全国区のパネットーネとパンドーロなどがある。SAPORITAをもっと見る
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