2年目のグッチ・オステリア
2018年1月にOPENしたGUCCIとオステリア・フランチェスカーナ Osteria Francescanaのコラボ・レストラン「グッチ・オステリア GUCCI OSTERIA」も早いもので1周年を迎え、2年目に突入。メキシコ出身の女性シェフ、カリメ・ロペス Karime Lopezもその間着実に実績を積み、Identita Goloseが選ぶ2019年度最優秀女性シェフ賞を受賞。来たる3月23日から始まる同イベントでも今年はデモンストレーション・シェフとして登場するなどイタリアを代表する女性シェフの一人となりつつある。1年ぶりに訪れた「グッチ・オステリア」は冷たい雨が降るランチタイムにも関わらず満席で、見ていると食事を終えて席を立つ客の後にすぐまた次の客が控えているという、ノンストップ営業の特徴が最大限発揮された盛況ぶりだった。この日食べたのは7品90ユーロのデグスタツィオーネ+ワインペアリング4杯45ユーロのコースで、内容は以下の通り。

Amuse Buche ” Cuscino di limone di Amalfi”

本家オステリア・フランチェスカーナではバッカラやウサギのカッチャトーラなどのフィンガーフードがアミューズ・ブーシュとした登場するが、こちらはモデナのニョッコフリットを思わせる生地の中にセロリアックと思われる根菜のピューレにアマルフィ・レモンで香りづけしたもの。

Tostada di mais viola

女性シェフ、カリメ・ロペスの出身地であるメキシコの代表的料理。メキシコ産紫トウモロコシのチップス「トスターダ」に、エシャロットとコリアンダーでマリネしたカツオ、アボカドの「ワカモレ」クリームでセビッチェ風に仕立てた。カリメはメキシコ出身だがオステリア・フランチェスカーナの他にペルーの「El Central エル・セントラル」、東京の「龍吟」で働いた経験がある。そんな彼女のアインディティを表現した越境料理。

Italy Cannoli

カンノーリに見えるのは、実は今が旬のカボチャで中にはリコッタの代わりに、やや酸味のあるスケアックエローネ・チーズが忍ばせてある。温かいスープはペペローニのインフュージョンで、アーモンドオイルで香りづけ。植物性の食材だけで旨味を表現している。

TAKA Buns

カリメは、オステリア・フランチェスカーナの日本人セコンド・シェフ、紺藤敬彦さん通称「TAKA」の奥方だが、この「タカ・バンズ」はいまやTAKAの代表的料理のひとつとなった。包子で挟んであるのは24時間低温調理したチンタ・セネーゼのバラ肉。とろけるような食感、軽く塩もみした紫キャベツとの相性もよく、最初に八角の香りが心地よく、次いで甘み、最後に豆板醤の辛味が締める。

Tortellini al parmigiano

いうまでもない世界で一番美味しいと言われるボットゥーラ考案のパルミジャーノ・ソースは36ケ月熟成のパルミジャーノ・レッジャーノと去勢雄鶏カッポーネのブロードで作ってある。最近思うことだが生地はかなり噛みごたえがあり、特につなぎ目の硬さが時々気になる。この日のソースは濃度は濃いがいつもより旨味は控えめだった。オステリア・フランチェスカーナで食べるあの衝撃的なトルテッリーニにはまだ及ばないか。

Lingua con cavoletti di Bruxelles e sedano rapa

非常にゼラチン質に富む、濃厚な牛タンとドゥミグラスソース、芽キャベツ、セロリアックのクリーム。牛タンといえば本家オステリア・フランチェスカーナには「Bollito non bollito ボッリート・ノン・ボッリート」「Tutte le lingue del mondo トゥッテ・レ・リングエ・デル・モンド」という2つのシグネチャー・ディッシュがあるが、これはそれらから生まれたスピンオフ料理。

Emilia Burger

かつてボットゥーラがアメリカで発表した際、マンハッタンには大行列ができたというイタリア的矜持が詰まったミニ・ハンバーガー。イタリア産牛肉にコテキーノを加えて脂肪分を補い、下にはサルサ・ヴェルデ、上にはバルサミコとマヨネーズをあわせたバルサミコマヨが。これはコースメニュー用のスモールポーションだが、隣のロシア人のファミリーは全員でフルサイズのエミリア・バーガーにかぶりついていた。ある意味外国人旅行者には非常にわかりやすい料理である。

Castagna e Mela Cotogna

栗のウエハースに花梨のマルメラータとジェラート・アッラ・クレーマを挟んだ、昔でいうパリジーネというスタイルの一口サイズの冷たいドルチェ。

Winter Charley

チャーリーというのはボットゥーラの長男の名前で、これはチャーリーの好きな冬のデザートの盛り合わせ。マシュマロとフルッタ・カンディータ入りのクッキー、そしてココアに見えるのはエスプーマで空気を入れたフォンデンテ80%の冷たいチョコレートムースで、その下にはヘーゼルナッツのジェラートとチョコクッキーのクランブルが隠れていた。 あわせたワインはVermentino di Lunae “Cavagino 2017”, 和歌山のゆず日本酒,Botrosecco “Mortelle 2016”, Picolit

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