リッチャかフロッラか?それだけではない最新スフォリアテッラ事情
ナポリを代表する郷土菓子スフォリアテッラは偶然の産物だといわれている。時は18世紀、サレルノ近郊サンタ・ローザ・ダ・リマ修道院の厨房でパスタ・フロッラ(練り込みパイ生地)が余ったので、ドライフルーツ、砂糖、リモンチェッロを詰め物にしてオーブンで焼いてみたところとても美味しくできた。すると地元住民たちの間でもその焼き菓子は評判を呼び、修道院に敬意を評して「サンタ・ローザ」と呼ばれるようになったという。スフォリアテッラ「フロッラ」の誕生だ。その後1811年にナポリの菓子職人パスクワーレ・ピンタウロが秘伝のレシピを入手して商品化に成功。フロッラだけでなくパスタ・スフォッリア(折りパイ生地)を使ったスフォリアテッラ「リッチャ」も生み出し、今日我々が知るスフォリアテッラの原型を完成させたといわれている。ナポリの菓子店やバールでスフォリアテッラを注文すると必ず「リッチャかフロッラか?」と聞かれるように、少々ややこしいがスフォリアテッラには「リッチャ」と「フロッラ」の2種類が存在しているのだ ところが過日ナポリ中央駅前のバール・パスティッチェリアに入った時のことだ。カウンターを見回してみると不思議なスフォリアテッラ「リッチャ」がたくさん並んでいるのに気が付いた。サラミ、チーズなどまるでパニーノのような具材の組み合わせで、スフォリアテッラ=全てドルチェというわけではなさそうだ。何気なく入った店の店名を改めてみてみると「クオーリ・ディ・スフォリアテッラ」とあり、創業は1987年。クラシックな菓子「リッチャ」と「フロッラ」はもちろんさまざまな具材使った塩味のスフォリアテッラ「スフォリアテッラ・サラータ」を作っている。メニューを見てみると「ナスとプローヴォラ」「ジェノヴェーゼ=豚肉とタマネギ」「バッカラとストラッチャッータ・ディ・ブーファラ」「リコッタとサラミ」「サルシッチャとフリアリエッリ」などまるでピッツァのようなオリジナルがずらり。さらにはトマトを練りこんだ赤いスフォリアテッラ「トマト、バジリコ、モッツァレッラ=マルゲリータ」や、バジリコを練りこんだ「クルミとペスト・ジェノヴェーゼ」などがある。こうした新しいスフォリアテッラはナポリ発、新たなストリートフードとなるかどうか?この日はクラシックな熱々のリッチャしか食べなかったが、次の機会には是非スフォリアテッラ「サラータ」を食べてみたいと思うのでそのレポートはまたいつか。 www.cuoridisfogliatella.it/SAPORITAをもっと見る
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