TOKUYOSHIのデリバリー・ピッツァ
3月にBRUTUSイタリア特集で取材に訪れて以来のTOKUYOSHI。GYOTAKUはじめ多くのシグネチャー・ディッシュを持つ徳吉洋二シェフだが日本にOPENしたALTER EGOでも話題になっているのがこの徳吉風ピッツァだ。時にはピッツァ・カプリチョーザともデリバリー・ピッツァとも呼ばれるが、やはり3月にミラノで行われたIdentita Goloseに登壇した際はこのデリバリー・ピッツァを題材にし、多くの拍手と笑いを浴びていた。 「お客さんが席についた後、『今日は時間がなかったのでデリバリー・ピッツァを注文しておきました』といってお持ちすると大抵みなさん喜んでくださるんですよ。でも箱にはGuten Appetitなんてなぜかイタリア語じゃなくてドイツ語で書いてあるんですけどね、ではBuon appetito」 テーブルに置かれた、なんともキッチュな宅配ピッツァ・ボックスを開けて見ると中に置かれているのは直径7〜8cmほどの小さなピッツァ。これは白ポレンタと米で作ったグルテンフリーのライスクラッカーで、トッピングはパルミジャーノ、ブッラータ、モルタデッラ、アーティチョークのフリット、オレガノのトマトソース、様々なマイクロ・エディブル・フラワー。手に取って食べて見るとこれが実に軽いスナッキーなピッツァ。しかしモルタデッラやパルミジャーノのうまみ、アーティチョークのフリットの塩加減、そして何より本物のピッツァを彷彿とさせる濃厚トマトソースと、プレゼンテーションは意外でも、味の構成は実にイタリア的なのが徳吉料理だと常々思う。変化球に見せて実はストレート。ボール球に見せかけて実はストライク、そんな演出の連続で客を楽しませつつも、最後にはしっかりとハイレベルなイタリア料理の余韻を残す。その序曲がこのデリバリー・ピッツァであり、次の料理が早く来ないかと待ち遠しくなる。 TOKUYOSHI www.ristorantetokuyoshi.com Via San Calocero 3, 20123 Milano Tel02-84254626SAPORITAをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。