アブルッツォワイン紀行7 アブルッツォ料理の宴
今回アブルッツォのワイナリーを巡る旅は、モンテプルチアーノ・ダブルッツォDOC制定50周年を記念しアブルッツォ・ワイン生産者組合 Consorzio Vini d’Abruzzoによってオーガナイズされ、世界中から約40名のジャーナリストを招聘して行われた。3日間にわたり10名ほどの小グループにわけてそれぞれがワイナリーを訪問。日本人として唯一招聘されたわたしのグループはおもにアメリカ、カナダ人中心で、Luigi Cataldi Madonna, Valle Reale, Zaccagnini, Fauri, Buccicatino, Citraの6ワイナリーを周り、他に多くの生産者たちと知り合う機会に恵まれた。最終日、オルトーナにある州立エノテカ Enoteca Regionaleを訪ねた後のファイナルイベントがトラボッキ海岸にあるVilla Esteaで行われた大試飲会だった。これには今回のプレスツアーに参加したワイナリー約30社が登場しウォークアラウンド形式で行われたが、ここ数日ですっかり顔なじみになったあちこちのワイナリーに顔を出し、挨拶しては乾杯を繰り返すという、試飲というよりお互いを労う意味もあった。 そしてトラボッキ海岸に日が暮れる頃、プールサイドではファイナル・ブッフェ・パーティがはじまった。ペコリーノ、サラミ、プロシュット、ラルドのほか珍品ヴェントリチーナ・ディ・エンリコも登場。さらに炭焼きブースではミニハンバンガーの黒トリュフがけ、アロスティチーニ、子羊が焼かれ、大皿に並ぶや否や瞬く間に消えていった。その間30社提供のペコリーノ、パッセリーナ、チェラスオーロ、モンテプルチアーノなどを端から順番に飲みつつ、この旅で一体何本食べただろうか?またしても羊の串焼きアロスティチーニを頬張る。ワインが優秀な土地は料理も美味しい、というのがイタリアにおける金科玉条。今回は連日朝から晩までどっぷりとワイン漬けになり、アブルッツォ料理を堪能してはその定説を再確認するという作業を続けたわけだが、アブルッツォの人々の性格同様、ワインも料理もわかりやすくてシンプル、そして開放的かつホスピタリティに富んでいた。 ツーリズムという観点からすれば、ディステネーションとしてのアブルッツォは日本ではまだまだマイナーだが、今回の旅がひとつのきっかけとなればこれほど嬉しいことはない。なによりも、ああ、また帰ってきたい、あのレストランにいけばあの料理が、あのワイナリーにいけばあの人に会える、という忘れがたい多くの出会いがあったように、今後アブルッツォの地を旅する人にもさらに多くの出会いがあることを願ってやまない。

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