Franceschetta 58の最新メニュー


過日モデナを訪れた時のことである。「オステリア・フランチェスカーナ」の前でセコンドシェフのダヴィデと立ち話をしていると、ちょうど乗ったマッシモ・ボットゥーラが現れた。以前からマッシモはモデナ郊外に田園ホテルを作りたいと話しており、この時はちょうどそのホテル「カーサ・マリア・ルイージア」がOPENしたばかり。「一緒に見に行こう!!」とマッシモは愛車マセラティ・カブリオに噂の田園ホテルに連れて行ってくれたのだが、その記事はまた別の機会に発表するのでここでは割愛することにする。

その夜、マッシモ自らが予約をとってくれた「フランチェスケッタ58」へ向かう。このレストランはモデナ旧市街から歩いて5分ほどの、街を囲む環状線の外側の住宅地にある。「オステリア・フランチェスカーナ」の姉妹店兼カジュアル版として、「オステリア・フランチェスカーナ」の予約が取れなかった時はこちらへ、という流れのことが多い。料理は本家「オステリア・フランチェスカーナ」よりも「グッチ・オステリア」に近く「エミリア・バーガー」「トルテッリーニ・アル・パルミジャーノ」などが食べられる。

OPEN当初は「オステリア・フランチェスカーナ」の古株スタッフでもあるベルナルドがシェフをつとめていたのだが、ドバイにフランチェスカーナ・グループの最新店「トルノ・スービト」が2019年春にOPENし、シェフに就任。現在はフランチェスコがシェフを勤めており、メニューは2種類。”Tradizione in evoluzione 進化の中の伝統”と”I love MODENA”だがこの夜はシェフのおまかせコース。

Amuse: Chawanmushi di piselli, mandorle, cedro, crema di parmigiano
アミューズ:グリーンピースの茶碗蒸し、アーモンド、チェードロ、パルミジャーノ・クリーム

アミューズとして登場したのは、冷たくて滑らかな食感のグリーンピースのフラン、中には香ばしいアーモンド・クラッシュとほろ苦くて甘いチェードロの砂糖漬け、そして「トルテッリーニ・アル・パルミジャーノ」を思わせる冷たいパルミジャーノ・クリーム。

パンはトマトのオレガノのグリッシーニ、玉ねぎとパンチェッタのフォカッチャ、天然酵母のパン、フェンネルシードのパン。

Pesce azzuro, pomodoro verde, ravanelli, salsa di cetriolo e kiwi
ブリのたたき、グリーントマト、二十日大根、きゅうりとキウイのソース

これは「オステリア・フランチェスカーナ」の名作料理である「Mediterannea メディテラネア」を思わせるきゅうりとフェンネル、そして青リンゴとキウイを使った甘くて酸味があり、きゅうりの香織が夏を感じさせる冷たいソース。ブリは軽く火を入れたタタキ風。

Linguine con bottarga di tonno e mandorle tostate
マグロのボッタルガのリングイネとロースト・アーモンド

パスタはやや肉厚でかみごたえがあり、全粒粉のようなリングイネ。これにマグロのボッタルガとロースト・アーモンドというシチリア的な組み合わせ。ソースはアーモンドミルク+ボッタルガ。トッピングのレモンの皮のすりおろしで清涼感をプラス。

Uovo cotto a bassa temperatura, taccoli, asparagi, pancetta e tartufo
卵の低温調理、モロッコいんげん、アスパラガス、パンチェッタと黒トリュフ

ほろ苦いハーブソースはイラクサの味と香りがする濃緑のソース。ミント、フェンネル、マジョラム、アスパラガス、モロッコいんげんの下には低温調理した卵黄、パンチェッタ、黒トリュフ。卵黄とトリュフの相性のよさに、ハーブを組み合わせた卵料理。

Emilia burger エミリアバーガー

近年「グッチ・オステリア」などでも登場し、カジュアル料理としてはボットゥーラの代表作となりつつある「エミリア・バーガー」。キアナ牛100%のハンバーグにアボカドとサルサ・ヴェルデ、バルサミコ・のソース。どことなく甘い味付けはモデナ伝統、ボットゥーラも好むところ。バルサミコとサルサヴェルデ、というエミリア地方ならではの味。

Petto di galletto arrosto con la sua salsa, friggitelli e chips di mais rosso
若鶏胸肉のローストと若鶏のソース、シシトウと赤トウモロコシのチップス

柔らかい若鶏の胸肉には同じく若鶏からとったクリーミーなソースと甘いトウモロコシのピューレ。付け合わせは古代品種8筋赤トウモロコシのチップスとししとうのソテー。

 

Zuppa inglese ズッパイングレーゼ

フェッラーラのエステ家がモデナに領地替えになった際、モデナにもたらされたドルチェ。当時フェッラーラ公国大使がイギリス出張した際、彼の地で食べたトライフルが忘れられず帰国後宮廷料理人にその再現を懇願。イギリスに敬意を評して英国風スープ「ズッパ・イングレーゼ」と名付けた。元来イタリア語でズッパ=スープとは「浸す」という意味なので、スポンジケーキをリキュールに浸したこのドルチェも同様の理由で「ズッパ」と呼ばれた。ボットゥーラはサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局のアルケルミスを使っているのは有名な話。トッピングのダークチェリーはモデナ近郊ヴィニョーラの名物。

Franceschetta 58 
www.franceschetta.it
Via Vignolese, 58  Modena
Tel+39-059-3091008

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