ワインを無駄にせず、ゴミも出さないExpo Chianti Classico
2019年9月5日〜8日かけてグレーヴェ・イン・キャンティで「第64回キャンティ・クラッシコ・エクスポ 64th Expo Chianti Classico」が行われた。これはグレーヴェ・イン・キャンティのメイン広場であるジャコモ・マッテオッティ広場にグレーヴェ・イン・キャンティ周辺のワイナリー65社が参加。秋の本格的ワインシーズンの幕開けとなるイベントだった。 キャンティ・クラッシコの生産地域はグレーヴェ・イン・キャンティ、カステッリーナ・イン・キャンティ、ラッダ・イン・キャンティ、ガイオーレ・イン・キャンティなど「キャンティ」という地名がつく4つの町を中心に生産地が広がっている。中でも優秀な生産者が集まるのはラッダとガイオーレであり、グレーヴェはもっともフィレンツェに近いのでキャンティ・クラッシコ・エリアの入口的存在であり、またもっとも大きくて美しい町だ。 この日味わったのはFattoria Nittardi Chianti Classico “Belcanto” 2016, Lamore Lamore Chianti Classico “Etichetta Blu”, Castello di Bossi Chianti Classico “Granselezione Corbaia ” 2015, Felsina Chianti Classico Riserva Berardenga 2016, Castello di Querceto Chianti Classico “Gran Selezione”, Castello di Liliano Chianti Classico “Gran Selezione” などなど。通常ガンベロロッソのトレビキ試飲会などプロ向けの試飲会では50〜60種類は試飲するが、この日はトレビキ常連を中心に10種類ほど。それはさておき、ツーリスト対象のExpo Chianti Classicoの試飲は非常に合理的なシステムだった。 まず入場者は10ユーロ支払い、専用のグラスと7枚つづりのチケットをもらう。グラスは持ち帰り可能。通常のChianti Classico は1杯1枚、Riservaなど特殊なワインのみ2枚必要なのだが、これがいずれもテイスティングではなくレストランで提供するようにたっぷり80ccほど注いでくれる。つまり「試飲」ではなく最後までワインを楽しむ「飲」だ。パンツァーノ・イン・キャンティでも同様のワインイベントが毎年開催されるが、こちらはも入口でグラスを買ったあとはフリーテイスティング。時間の許す限り何種類でも試飲することが可能なのだ。しかし当然だが、何十種類も試飲する場合は当然グラスに残ったワインは捨てざるをえない。これはワインの試飲会でいつも気になっていたことだ。 何十種類も「飲」することは不可能だが、7種類程度なら全部飲むことも可能。それに1杯1チケットならば「ただだから」とむやみやたらに試飲して残りは捨てる、という悪癖も予防することができるし、グラスを購入して持ち帰り可能、というのはグラスを回収、清浄して返却するという手間がはぶける。これは日常的にワイングラスを使用する機会が多く、業者も多いイタリア、しかもワインの里キャンティならではのシステムなのかもしれない。それに無料試飲なのでサンプルとして提供、と生産者に無理を課すことも防げる。なんでも無料、というのは時に自分たちの首をしめるばかりか、期せずして別の問題を産むこともある。 日本でのフードイベント、例えばアマトリチャーナデイなどではワインにはプラカップを提供するが、すると1日の終わりには大量のゴミが出る。事業ゴミは有料、ということ以前に自らゴミを大量に生み出すシステムはなんとかならないものだろうかと常々思っていた。ワイングラスを安価に供給し、持ち帰りできるようにすればこうしたゴミ問題も解決するのだが、どなたか気概ある日本のグラスメーカーがこうした試飲会・イベント用パッケージを提案、開発してくれないだろうか?SAPORITAをもっと見る
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