シチリアの有名シェフが大麻料理で逮捕、は本当か?
Corriere della Seraなどによれば2019年9月29日シチリアを代表するシェフの一人であるカルメロ・キアラモンテ Carmelo Chiaramonteが大麻草を栽培、料理や食材などに使用していたとして逮捕されたという。カルメロ、の名前に聞き覚えがある人はいるだろうか?2003年に「シチリア美食の王国へ」取材中にカターニアで出会い、当時はホテル・カタネ・パラス内のレストラン「イル・クチニエレ」でそれはそれは創造的なシチリア料理を作っていた料理人だ。画像は2003年1月、ともにカターニアのペスケリア市場を歩いて回った時の写真だ。 イタリアの伝統料理に疑問を投げかけ、再解釈して再構築するという手法は現代イタリア料理からしてみるとごく日常的な行為だが、当時は才気走ったカルメロの仕事ぶりを目の当たりにし、大胆な発想と料理に衝撃を受けたのも懐かしい思い出だ。その後カルメロはレストランを持たない、所属しない「Il cuciniere errante=放浪の料理人」として活動し料理教室やRAI、Gambero Rossoなどテレビの世界で活躍するようになった。 そのカルメロが、エトナ山麓トレッカスターニにある自宅で高さ2mの大麻草2鉢にくわえ、それらの大麻を日常的に料理に使用、さらにはワインやオリーブ、マグロなどに用いてさまざまな大麻製品を製造していたというのだ。新聞によればカルメロは販売目的ではなく、あくまでも自分の精神面の治療用に日常的に大麻を用いていたという。一緒に暮らすパートナー(彼女とも数年前カルメロとともに会ったことがあるが)とともに2年前のある死をきっかけに(家族か友人か、は不明)精神的に辛い時期を過ごすようになり、その頃から大麻を使い始めた。最初は吸引していたがやがてオリーブオイルに大麻を漬けて料理に使うようになったという。カルメロの弁護人であるリータ・ファーロ女史はカルメロは販売目的ではなく個人の治療目的だったと弁護している。 2016年12月に制定されたイタリアの法律第242号によれば、イタリアでは大麻の使用は限定的に合法であり、一般の使用は以下の条件の下に限られる。それはTHC(テトロヒドロカンナビノール=多幸感を覚えるなどの作用がある向精神薬)含有量0.2%以下のカンナビス・レガーレあるいはカンナビス・ライト=合法大麻、軽大麻の使用のみ。一方医療用大麻はTHC含有量5〜8%で、イタリア国内ではStabilimento chimico farmaceutico militare di Firenze(フィレンツェ軍事化学薬品工場)でのみ製造が認められており、処方箋があれば治療目的としてのみ薬局で購入することができる。カルメロが育てていた大麻のTHC含有量および、オリーブオイルやワインなどに含まれていてTHC含有量は定かではないが、有罪の場合は2年〜6年の懲役が課される可能性がある。 カルメロは取り調べに対してこう主張しているという。「私はこれまでに何度も大麻の向精神効果に関する会議に参加しているが、地中海世界では紀元前3世紀から哲学者たちはなにかしらの天然成分を用い、一種の興奮状態や瞑想状態を維持していたと思われる。それは大麻以外には考えられない。わたしは販売目的ではなく、自分の治療目的なので寛大な判決が出ることを望む」と。注目の初公判は2020年2月に行われる予定だ。  

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