ヴェネト生まれのミニ・グリッシーニ、ビバネージの美味しさの秘密
指の長さほどのグリッシーニ、Bibanesiの故郷はヴェネト州のビバーノ。フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州との境界に近い小さな町で、創業者のジュゼッペ・ダ・レはそこでパン屋を営んでいた。昔から、パン屋の仕事は夜に種を仕込み、翌朝早くに焼くのが習わし。重労働である上に、長時間労働であることから、1970年代には機械製造によるパン工場が増加。機械化すれば安く大量に作れ、働き手も少なくて済むが、ジュゼッペはその品質に満足できなかった。手作りに引けを取らない質のパンを工場で作るための試行錯誤を繰り返し、行き着いたのが、質の良い原料を使い、どうしても機械にはできない部分は人間の手で作るという結論だった。 そしてもう一つ、重大な決断は、通常のパンではなく、グリッシーニに特化したことだ。パンは鮮度が第一の食品である。工場で作り、遠方まで運ばれるうちに鮮度は落ちる。鮮度を保つためには保存料などを使うことになるが、それを良しとしなかったジュゼッペは、劣化の原因となる水分を極限までカットすることにした。小型化し、表面をしっかり焼けば内部を守ることができる。こうしてたどり着いたのが、ミニ・グリッシーニだった。以降35年以上変わらず、ジュゼッペ発案のミニ・グリッシーニはBibanesiという名で作り続けられている。 原料は小麦粉のほか、EVオリーブオイル、塩、ラード、モルト、イーストが主材料で、バリエーションとして、全粒粉、セナトーレ・カッペッリ麦、カムット麦(コラサン)、キヌア、ローズマリー、玉ねぎ、唐辛子、オリーブ、牛乳、蜂蜜などを使う。主材料は全てイタリア国内産で、その他もトレーサビリティは徹底している。保存料を使用していないが、未開封であれば1年半は品質に変化はないという。 Bibanesiの特徴は形にもある。現在、同じようなミニ・グリッシーニを作っているメーカーは他にもあるが、ほとんどは機械成形で、形状もほぼ均一。一方、Bibanesiは一つ一つ手で成形するため、形はさまざま、大きさもばらつきがある。でもそれが、見た目の面白さにつながり、子供達には動物その他身近なものに“見立て”遊びができることで人気だ。 現在、Bibanesiの工場は創業の地ともう一つ、より大規模な工場がコネッリアーノの郊外にある。ここでは約50人が働いているが、だいたいが若い人たちだ。材料のストック、配合と生地作り、成形、焼成、パッケージングの工程の中で、一番多くの人手を割いているのが成形工程だ。機械で細長くカットされた生地の両端を手で持ち、ひゅんひゅんと回すようにして軽くねじりを加える。そして指の長さ程度にカットされるのだが、ねじり具合によってそれぞれが異なった面白い形になる。あとは焼成、最初は180度で途中から120度に下げて乾燥焼きをし、完成である。 シンプルだが、嘘偽りのない原材料と製造工程を誇りにしているという同社は、食べ物への関心を持ってもらいたいと子供達の見学を積極的に受けている。粉やそのほかの材料が生地となり、ユニークな形になって、焼きたての香ばしい匂いを放ちながら目の前に現れると誰もが目を輝かせるという。昔に比べ、現代イタリア人がパンや小麦製品を食べる量は格段に減ったが、それだけに体に良いものへの目は厳しくなっている。工場見学に訪れた子供達が見たBibanesiは、良いものを見極める判断力を育てる一助になっているだろう。 問い合わせ先 サンヨーエンタープライズ(株)SAPORITAをもっと見る
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