1000年前と変わらぬ生物多様性を守るワイナリー「ボルゴルーチェ」
コネッリアーノの南西スゼガーナにある農園「Borgoluce」は、1000年以上の歴史を持つヴェネト有数の貴族コッラルト家がオーナーである。トータルで1200haの土地の大部分は森と牧草地が占め、その他に麦畑、とうもろこし畑、葡萄畑(約100ha)、オリーブ畑、果樹園がある。また、牛、豚、羊、馬も飼育している。これはコッラルト家が12世紀の昔から維持してきた自給自足のシステムなのだ。本来人間は、さまざまな生き物や植物に囲まれて、日々の糧を得ていたわけで、それが今は生物多様性という言葉によってあたかも新しい概念のように錯覚するが、なんのことはない、20世紀初めまでは当たり前のことだった。しかし一度失ったものを再興するのは難しい。「ボルゴルーチェ」には先祖代々受け継いできた遺産を大事に守り続けてきたというアドバンテージがあるというわけだ。 ただ、正式に農業会社となったのは10年前で、以来、醸造設備を充実し、チーズなど乳製品、ハム・サラミ類、オリーブオイル、はちみつその他の食品を販売するショップを作り、さらにこの秋、新しくデグスタツィオーネができるカフェスペースをオープンさせた。カフェのテラスからは葡萄畑が見え、その向こうにコッラルト家が所有する丘の景色を眺めることができる。カンティーナは、このカフェの真下にあり、カフェにいる限りは見えないが、テラスを背にしばらくずんずん歩いて振り返ると、ガラス張りの地下カンティーナを見ることができるというドラマチックな設計だ。 手がけているプロセッコは、ベーシックラインであるプロセッコDOCトレヴィーゾ・ブリュット「Lampo」のほか、若い年齢層向けの軽くフレッシュ感を押し出した同じくDOCトレヴィーゾ・ブリュット「Gaiante」、さらにプロセッコDOCGヴァルドッビアデネ・スーペリオールなどがある。プロセッコDOCについては軽やかで繊細な味わいが好ましいとブリュットが人気だという。そのほかスティルワインは白のピノ・グリージョ、赤のカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネとメルローの混醸もある。 カフェでのんびりとデグスタツィオーネするのもいいが、食事とのペアリングを楽しんでみたいなら、スゼガーナの北へ10分ほどの丘の上にある「Osteria Borgoluce」が良い。農園で作られる食材を使った、伝統をベースにライトにアレンジした料理が味わえる。自家製の水牛の乳製モッツァレッラのモッツァレッラ・イン・カロッツァと、同じく自家製のプロシュート・コットはとりわけおすすめだ。  

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