ドロミティ山塊の麓でスタイリッシュなプロセッコを目指すワイナリー「レ・ルーゲ」
ヴァルドッビアデネからベッルーノへ向かう。国道はピアーヴェ川にほぼ沿って谷を行くが、次第に空が近く感じられ、標高が上がっていくのがわかる。目指すワイナリー「Le Rughe」の畑テヌータ・ア・コルはベッルーノの南5kmに位置する。ワイナリーや葡萄畑というものは大抵「こんなところにあるのか?」と思うような細道を辿った先にある(もちろんそうでない場合もある)。「レ・ルーゲ」のこの畑もアーペしか通らなさそうな未舗装の農道を行かねばならない。対向車が来ませんようにと祈りながら到着したテヌータ・ア・コルは、秋の西日を浴びて緑の葉が金色を帯び、穏やかな空気に包まれていた。はるか先にはドロミティの青い山波が見える。外界から遮断された美しい世界だ。 「レ・ルーゲ」は、1961年にガエターノ・サンドロが立ち上げ、以来サンドロ家が営むワイナリーである。本拠地はコネッリアーノ、自社畑はコネッリアーノ北部のオッリアーノとさらに北のこのベッルーノ近郊にあり、トータルで80ha。年間30万本を生産し、その内8割がプロセッコだ。テヌータ・ア・コルは20haでグレーラ種の他に、ピノ・ネーロ、ソラリス、アロメーラの各種を栽培している。山岳地帯にほど近いので一日の寒暖差が大きく、葡萄栽培には好適地。今はオーガニックに転換中だという。この土地は古来、北と南を結ぶ重要な地点にあり、古代ローマの遺跡が残されていたり、今も南ドイツからイタリアへと徒歩でやってくる旅人が必ず通る。ドイツ人のプロセッコ好きは有名で、そんな彼らにとってベッルーノからコネッリアーノ方面に向かう道は、言うなればプロセッコ巡礼の道。「レ・ルーゲ」は、美しい葡萄畑を眺めながら旅する巡礼者(?)のために、現在B&Bを準備中だという。 手がけているプロセッコDOCはブリュットとエクストラ・ドライ、どちらもアウトクラーヴェでの二次発酵は3ヶ月。エクストラ・ドライは白い花の香りとリンゴの香りが明快でクリーンな味わい、ブリュットは彼らにとって“モダン・バージョン”で、エクストラ・ドライよりも軽快でクリアな酸味が特徴である。顧客の7割がイタリアで、輸出先はカナダ、スイス、香港、日本など。国内外問わず、小売店よりもレストランやワインバーなど飲食店を主要な顧客としているが、料理とのペアリングを重視しているゆえの戦略だ。今後はもっと若い顧客層を掘り起こしたいとデザインを全面的に変更中で、2019年収穫分からはよりクールでインパクトの強いボトルデザインになるという。SAPORITAをもっと見る
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