プロセッコで最大規模の一族経営ワイナリー「ヴィッラ・サンディ」
プロセッコメーカー348業者の中で、協同組合や多国籍企業ではなく一族オーナー会社として、また第三者から葡萄を提供されることなく自社畑のみで製造するワイナリーとしては最大規模を誇る「Villa Sandi」。本拠であるクロチェッタ・デル・モンテッロのヴィッラを中心に、ヴァルドッビアデネ、アゾロ、カルティッツェ、そしてフリウリのスピリンベルゴに畑を所有し、全てのプロセッコDOC、DOCGを生産する、プロセッコを代表するメーカーである。 その象徴が、1622年に建てられたヴィッラ・サンディ。16世紀にヴェネトで活躍した建築家アンドレア・パッラーディオのスタイルを踏襲した、ネオクラシック様式の壮麗な館で、ナポレオンその他多くの著名人が滞在したという。さらに第一次世界大戦時ドイツ軍の司令部が置かれ、その時に迷路のような地下トンネルが掘られた。後年偶然発見されたこの地下トンネルは、それ以前から存在した地下のカンティーナと繋がり、今は150万本の瓶内二次発酵のスプマンテとスティルワイン、バリックがそこに眠っている。 プロセッコDOCとしては、DOCトレヴィーゾ・ブリュット「イル・フレスコ」、DOCトレヴィーゾ・エクストラドライ・ミッレジマート「イル・フレスコ」の二つ。そのほか「イル・フレスコ」のシリーズにはブリュット・ロゼ(近々プロセッコDOCとなる予定)がある。「ヴィッラ・サンディ」のプロセッコは収穫後の葡萄をソフトプレスし、果汁はすぐにステンレスタンクで冷蔵保存、必要に応じて二次発酵を3ヶ月行う。ベーシックラインであるDOCトレヴィーゾ・ブリュットは完熟したりんごと小さな白い花の香り、ドライでありながら余韻はフルーティという、プロセッコらしいスタイル。ミッレジマートは、よりふくよかでフルーティさが際立ち、アペリティーヴォに好適。ロゼは、2019年収穫分よりプロセッコとなる予定で、グレーラ種の他にシャルドネ、ピノ・ネーロが加わっている。色はややオレンジがかったサーモンピンクで、未熟なりんごの香りと心地よい酸味、控えめな果実味のバランスが良い。 「ヴィッラ・サンディ」は、環境保全に力を入れているワイナリーとして積極的な活動を展開しており、特に生物多様性を重視した土地利用が評価され、「バイオダイバーシティ・フレンズ」の認定を取得している。葡萄を作るためだけに自然を歪めるのではなく、自然と共存するワイン造りを目指す姿勢はプロセッコ生産地域にも徐々に広がりつつある。今後はよりナチュラルで持続性に長けたプロセッコを楽しむ機会が増えるだろう。SAPORITAをもっと見る
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