京都、紅葉のイタリア料理店 THE SODOH
京都の清水寺から江戸時代そのままのような三年坂、そして二年坂をおりてゆくと維新の道に突き当たる。ここには中岡慎太郎はじめ維新の志士たち計549人が眠っており、正面には豊臣秀吉の冥福を祈願し、北政所が1606年に創建した高台寺がある。まるで歴史絵巻を紐解くようなこの一角には、実はイタリア料理好きにとっては避けて通れないとあるレストランがあるのだ。「ザ・ソウドウ東山」は1700坪という広大な敷地に囲まれて佇む、日本家屋を改装して作られたイタリア料理店である。ここは戦前の京都代表する日本画家、竹内栖鳳の旧私邸兼アトリエ「東山艸堂(そうどう)」跡であり、秋には紅葉に囲まれたそれはそれは美しい光景を見ながらイタリア料理が堪能できる稀有な場所なのだ。和風住宅に足を踏み入れると内部は全くの和風で純白のテーブルクロスをかけたテーブルがセッティングされている。この日ランチタイムに試したのは「THE CHEF」6品からなるコース。

Amuse 京鴨 最中

これは京都産鴨のリエットを最中に詰めた一口サイズのアミューズ。「傳」のフォワグラ最中を思い起こさせる。最中の皮というのはイタリアのファイニンダイニング界でも注目されている食材であり、フィンガーフードとして様々な可能性があるのでは、と思う。

Amuse 滋賀県産 子持ち鮎

暖かい2皿目のアミューズは滋賀県産、ひとくちサイズの子持ち鮎のフリット。軽めのパステッラ、わたたとともに揚げてありほろ苦さが心地よい。

前菜 寒鰤とビーツ パスタ ディアヴォラ風ボロニェーゼのフェットゥチーネ

季節の寒鰤のマリネに甘いビーツのピューレとビーツのパウダー二十日大根のスライス、ビネガーで酸を効かせた冷たい前菜。いずれも素材の良さ、シンプルな調理、温度やテクスチャーを考えた構成が素晴らしい。パスタはやや辛いディアヴォラ風のラグー。自家製サルシッチャ=塩漬け風の豚肉粗みじんに酸味がきいたトマトソース、そして滑らかな卵入りの生地。ポーションもよく、キレがある。

セコンド 京丹後高原豚 カリフラワー ドルチェ 和栗 プリン

メインの肉料理は京丹後高原豚のロースト、部位はおそらくスカメリータ=肩ロース、カリフラワーはピューレとフリット、フォンド・ブルーノのソース。一口サイズに綺麗にまとめた肉料理。最後のドルチェは和栗を使ったプリン、実は生クリームたっぷりのパンナコッタだった。これにキャラメルソース、ホイップ、栗のシロップ煮。これも非常に上質な味わいのドルチェ。 今回初めて試した「THE SODOH」の料理は素材、流れ、調理法などいずれも素晴らしい構成。そして非常にコストパフォーマンスが高い。今京都で行きたいイタリア料理店は「チェンチ」「オルト」「ラ・ロカンダ」など何軒かあるが、「ザ・ソードー」も以前から注目していた一軒。また次回京都を訪れる際にはこうした京都ならではのイタリア料理店を一軒ずつ試してみたい。
THE SODOH 東山
www.thesodoh.com
京都府京都市東山区八坂上町366
Tel075-541-3331
11:00〜14:30、17:30〜23:00
 

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