“マルガエ”98,01,15を味わう イル・フェウドゥッチョ
「イル・フェウドゥッチョ Il Feuduccio」ことIl Feuduccio di Santa Maria d’Orniはキエーティから南に15kほど行ったオルソーニャ Orsognaにある。アンヌンツィアータ自然保護区 Parco Territoriale dell’Annunziata中心部にあり豊かな自然に囲まれている。西はマイエッラ山、東はアドリア海というキエーティ県の優秀なワイナリーの例に漏れず、日照時間が長くて気温差が激しく、水捌けも良いという恵まれた土地なのだ。こうしたオルソーニャが持つミクロクリマが「イル・フェウドゥッチョ」のワインを個性が際立つものとしている。創業者のガエターノ・ラマレット Gaetano Lamalettoは戦後の貧しい時代に一度はアブルッツォを離れ南米のヴェネズエラに移住したが40年後に故郷に戻り「イル・フェウドゥッチョ」を開いた。現在はガエターノの息子であるカミッロ Camilloと孫にあたるガエターノ Gaetanoがワイナリーを運営している。この夜は「イル・フェウドゥッチョ」に招かれてのワイナリー・ディナー会だった。ホスト役を務めるのはカンティーナの責任者ロッコ・チポッローネ Rocco Cipolloneに促されて席に着き、アブルッツォ料理とともに「イル・フェウドゥッチョ」のワインを味わうテイスティング・ディナーが始まった。 前菜:カルネ・サラーダとパルミジャーノ、コッパ、リコッタ、ドライ・アプリコット、自家製サラミとペコリーノ Carpaccio di “Carne Salada” con rucola e scaglie di Parmigiano、Fiorellino di coppa stagionata con ricotta e albicocche disidratate、Selezione di salumi nostrani e pecorinoこれにあわせたのがPecorino IGT Colline Teatine “Ursonia” 2017だ。ペコリーノ”ウルソニア”は過去トレビキも受賞しているアブルッツォを代表する優秀なパコリーノのひとつで洋梨やキャンディといった完熟した白い果実の芳香と味わいを持つ。 アブルッツォを代表するパスタ、キタッラのポルチーニ入り白いラグーと、子牛のオーブン焼き Chitarrina di ragu bianco e funghi porcini、Reale di vitello glassato al forno, patate e fagioliniとともに登場したのがこの夜のハイライト。Montepulciano DOC “Margae” で1998, 2001, 2015という年代ごとに異なる3種類のヴィンテージにあわせた。「イル・フェウドゥッチョ」を代表する白ワインが”ウルソニア”ならば、モンテプルチアーノのトップラインが”マルガエ Margae”だ。 これは創業者であるガエターノとマリア夫妻の名前からとった造語であり「イル・フェウドゥッチョ」がこのワインに込めた気概を表している。標高432mという丘陵地帯に位置する最も優秀な畑のブドウを使い、優良年にしか作られない幻のモンテプルチアーノだ。20ケ月バリック熟成のあと、瓶内熟成20ケ月。収穫年から4年後にリリースされリゼルヴァ的意味合いを持つ。ファーストヴィンテージの1998年の”マルガエ”はすごかった。カシス、ブラックベリー、ダークチョコレート、ほのかになめし皮やタバコの存在も感じるノート。非常に滑らかなタンニンと深い味わい、濃厚かつ力強い長熟タイプの素晴らしいモテプルチアーノだった。 「まるでボルドーの古いヴィンテージのようだ」とロッコに感想を告げると、「このワインはボルドーを目標に作ってきたので、そう言ってもらえると非常に嬉しい」と再び乾杯。メインのローストやチョコレートのデザートとの相性がよく、余韻が非常に長い。再び機会があるようならば鳩や羊、あるいは白トリュフとともに味わう機会があれば”マルガエ”もより一層輝くことと思う。 www.ilfeuduccio.itSAPORITAをもっと見る
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