スロベニア国境のワイナリー「ヴェニカ・エ・ヴェニカ」Venica & Venica
フリウリのワイナリー「ヴェニカ・エ・ヴェニカ Venica & Venica」はゴリツィア県 Goriziaドレーニャ・デル・コッリオ Dolegna del Collioにある。スロヴェニア国境まではわずか1km足らず、イタリア屈指の白ワインの地として知られるコッリオCollio DOC地区に位置している。このワイナリーを訪れるのは実は二度目だ。もう20年近く前になるがスロヴェニアまで車で旅した際「ヴェニカ・エ・ヴェニカ」に1泊したことがある。当時はレストランもあったのだが、現在は6室の客室に2つのアパートメントタイプ、合計8室のワイナリー・ホテルとしても営業している。荷物を部屋に置くと早々に、3代目オーナー、ジャンニ・ヴェニカ Gianni Venicaの奥方であるオルネッラ Ornella夫人にカンティーナを案内してもらった。 「ヴェニカ・エ・ヴェニカ」の歴史は1930年に遡る。ダニエレ・ヴェニカ Daniele Venicaがコッリオの地に畑を購入。石造りのカンティーナの地下には今も創業者ダニエレの名前が書かれた扉が残されているのだが、これは創業当時のスピリットを永遠に忘れないようにするための、家訓のようなものだ。ダニエレの後を注いだアデルキ Adelchi、そしてアデルキの2人の息子ジャンニ Gianniとジュゼッペ Giuseppe兄弟の扉も、さらに4代目にあたるジャンパオロ Giampaoloとその子供たちの肖像写真を使った「未来への扉 Porta del futuro」もカンティーナ内にある。つまりカンティーナを歩いてゆくとダニエレにはじまり、未来へと続いてゆくヴェニカ家の歴史が体感できる構造になっているのだ。 「ヴェニカ・エ・ヴェニカ」を大いに発展したのは3代目であるジャンニとジュゼッペの時代以降だ。サステイナビリティ=持続可能性とビオダイバーシティ=生物多様性をワイナリー経営に取り入れ、太陽光発電やブドウの木を使った暖房を使用し、CO2削減に成功している。またジャンパオロが率先して農薬不使用を実現し、現在ではビオ認証を取得している。 「ヴェニカ・エ・ヴェニカ」のワインはロンコ・デッレ・チーメ Ronco delle Cime、ロンコ・デル・チェロー Ronco del Ceròの2つの優良畑を中心に白ワイン16種類、赤ワイン5種類を生産している。今回飲んだのはRonco delle Cime Friulano 2018とJesera Pino Grigio 2018、前者は標高200m、北西斜面に位置する畑ロンコ・デッレ・チーメのフリウラーノを2018年9月6日から9日にかけて収穫。最大24時間のマセラシオン後ステンレスタンクで発酵、熟成させ6ケ月大樽熟成させたモスト40%とブレンドして作る白ワイン。ブレンドは3月末から4月にかけての満月の日に行われる。アルコール度数14%、非常に洗練された芳香はリンゴ、洋梨、白桃やバナナを思わせ、非常に滑らかな飲み心地。後者は2018年8月23日から9月4日にかけイエゼラ Jeseraの畑で収穫されたピノ・グリージョ100%を使用、13.5%。最大8時間というごく短時間のマセラシオン後ステンレスタンクで発酵。大樽で5ケ熟成させたモスト10%とブレンドして作る。こちらもブレンド日は3月から7月にかけての満月の日に行われる。アカシアに代表されるフローラルな香りが特徴的で味わい深い豊満な白ワインだった。

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