キャンティ・クラッシコも世界遺産に立候補
昨年の5月「コネリアーノとヴァルドッビアーデネのプロセッコ栽培丘陵群」が新たにユネスコ世界遺産に登録されたことはまだ記憶に新しいが、今度は「キャンティ・クラッシコ」も世界遺産に立候補することが明らかになった。 このプロジェクトが明らかになったのは去る2020年2月18日、フィレンツェのスタツィオーネ・レオポルダで行われた「第27回キャンティ・クラッシコ・コレクション Chianti Classico Collection」でのことだ。毎年恒例キャンティ・クラッシコのアンテプリマ(試飲会)には200社、740種類のキャンティ・クラッシコが登場し、その盛況ぶりをあらためて内外に広く見せつけた。2019年のキャンティ・クラッシコは例年に増して好調で、まず協会の会員数515社は過去最大、売り上げは対前年比10%増。それはキャンティ・クラッシコ・リゼルヴァとキャンティ・クラッシコ・グラン・セレッツィオーネという2つのプレミアム・カテゴリーニ牽引されているからだ。特にリゼルヴァは総生産量の42%、総売上の55%を占め、まさにキャンティ・クラッシコ「ガッロ・ネロ」の大黒柱的存在として君臨している。またグラン・セレッツィオーネも5年前には生産者は30にも満たなかったがこの1年間で95社から144社へと急増、売り上げ的にも総売上の15%を占めるまでに成長したのだ。 そうした好調な背景を受け、現キャンティ・クラッシコ組合会長、ジョヴァンニ・モネッティ Giovanni Manetti(Fontodiオーナー)はキャンティ・クラッシコ地区のユネスコ世界遺産登録へ向け立候補の準備に入ったと公式に発表した。キャンティ・クラッシコ地区は2400年前エトリア人の時代からワイン生産が始まり、1716年にトスカーナ公コジモ3世がその生産範囲を規定。これが世界史上初めての原産地呼称 Denominazione d’Origineとされている。以来300年が過ぎ、あらためて歴史的価値を付加すべく世界遺産申請に向けて動き始めたのだ。 現在イタリアにおいて、ワイン生産地のユネスコ世界遺産は3ケ所ある。昨年の「コネリアーノとヴァルドッビアーデネのプロセッコ栽培丘陵群」以前には2014年の「ピエモンテのブドウ畑の景観 ランゲ=ロエーロとモンフェッラート」「パンテッレリア島 ジビッボのアルベレッロ式栽培形態(無形文化遺産)」で「キャンティ・クラッシコ」が認定されればイタリア・ワイン界においては4番目の世界遺産となる予定だ。ちなみにこの記者会見に同席したトスカーナ州知事エウジェニオ・ジャーニ Eugenio Gianiによれば現在トスカーナ州には7の世界遺産があり、イタリア全体では実に55を数えるが、これは中国と同数で世界最大の世界遺産国家として君臨している。しかし過去にSAPORITAで報じたように「ナポリ・ピッツァイオーロたちの技術」に続きすでに「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」と「エスプレッソ」が無形文化遺産登録へと動き始めており、ここしばらくこうしたイタリアの食関連の無形文化遺産、自然遺産登録が続きそうな雰囲気がある。SAPORITAをもっと見る
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