2021年のレストラン・ガイドは一体どうなるのか?
今こんなことを書くのは時期尚早かもしれないが、毎年秋から冬にかけてはイタリアにおける重要なレストラン・ガイドが発表され、レストランシーンが大いに賑わい時期であり、本来ならば現在は編集作業の真っ只中のはずである。レストラン同様主要ガイドブックのジャーナリストあるいは編集者も自宅待機を余儀なくされているが、先の見えない状況下で2021年度のレストラン評価はどうなるのか?それよりも果たして秋までにレストランで自由に食事を楽しめるような環境を取り戻せるのだろうか?多くのイタリア人が疑問に持っていることを「イル・フォルケッティエレ Il Forchettire」のジャーナリスト「マルコ・ジェメッリ Marco Gemelli」が主要ガイドブックの編集長にインタビューした。ここに主要7誌のコメントを紹介する。

エンツォ・ヴィッツァリ Enzo Vizzari (エスプレッソ Espresso)

今回のコロナ騒動以前から編集作業は進んでいて、ほとんど3分1が終了している段階でした。レスランデータの挿入も完了していました。現状を考えると全て見直さないといけないと思います。というのも掲載予定店がそのまま掲載できるとは限らないからです。10月15日刊行予定でしたがそれは難しいでしょう。これまで書いてきたレビューも一軒づつ全て見直す必要があります。各地域の調査員にとっても大変な仕事です。いま予測するのは現実的ではありませんが、もし全てうまくいくのであれば7月から9月にかけて編集作業をする必要があります。大規模ではなく、中小規模のレストランにとっては現在の休業状態は致命的となることでしょう。また、どんな料理が今度好まれるのかも分からない。なぜならば多くの人々も嗜好というものを変えないといけないでしょうし、さらにいうならば一体この財政状態で誰かレストランに食べにきてくれるのか?という問題があります。

ジュゼッペ・チェラーサ Giuseppe Cerasa(レプッブリカ Repubblica)

いまわたしたちが暮らす世界について考え直さないといけなくなりました。それは消費者の需要についても同じことで、誰が生き残れるのか、どのように変わってゆくのかまだ何も分かりません。ひとつだけ確かに言えることは、レストランがどのように生まれ、どのように生きてきたかを評価すべきだということです。地域について語ることももはやさほど意味がなくなるかもしれません。それぞれのガイドブックが違う方法で生き残る方法を模索しないといけないでしょう。

パオロ・マッソーブリオ Paolo Massobrio (イル・ゴロザリオ Il Golosario )

この数日というもの、わたしたちはレストランのデリバリーに特化したWEBガイドを製作してきました。もちろん2021年度版も出版する予定です。2021年は再出発の年となるはずで、わたしたちも共に歩まないといけません。時間はあります。3月から中断してしまった編集作業をおそらくは6月以降に始めることになるでしょう。わたしたちはイタリア全土に90人のスタッフがいますので、州ごとの状況を鑑みながらとなります。  

マルコ・ボラスコ Marco Bolasco (オステリエ・ディタリア スローフード Osterie d’Italia SlowFood)

状況はまだまだ流動的なので、わたしたちはさまざまなオプションについて話し合っているところです。もちろん紙のガイドブックというのは締め切りがより厳密なことはよく理解しています。WEBのほうがそういった意味では実感的制約が低いので扱いやすいでしょうね。来年度版についていまはっきり言っておかないといけないことがいくつかあります。まず、どのガイドブックもそうですが読者と共にある、ということ。掲載するレストランやオステリアには一層の注意を払わないといけないと思います。わたしたちが対象とするレストランはファイン・ダイニングの世界に比べると発信力が弱いので、おそらくは再開するのにより困難を伴うでしょう。わたしたちはそうしたレストランの需要に応えることも必要です。そうしないとガイドブック自体も消滅することになりますから。

ルイジ・クレモナ Luigi Cremona (ツーリング・クラブ・イタリアーノ Touring Club Italiano)

当初は10月上旬出版予定でしたが、いろいろな状況を考えるとおそらく発売は延期されるでしょう。今後どうなるか?について語るのはまだ時期尚早で、少なくともあと一ヶ月は時間が必要です。レストラン業界は復活すると思いますし、期待もしています。ただし多くの問題が残されています。わたしは楽観的なので、大部分のレストランはこれまでとは違う状況に適応していくと思いますよ。

ガブリエレ・ザナッタ Gabriele Zanatta (イデンティタ・ゴローゼ Identità Golose)

わたしたちはWEBガイドですので、時間的には余裕があります。この件についてより具体的な答えを出すには、とにかくはまずいつレストランが再開できるのか?それが肝心です。

ラウラ・マントヴァーニ Laura Mantovani (ガンベロ・ロッソ Gambero Rosso)

いま解決策を考えるのはまだまだ難しい。とにかくイベントも開催できない状況ですから。

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