一部有名レストランが秘蔵ワインを放出中?
毎回こんなことを書くのも気がひけるが、イタリアは5月3日までレストラン含む一般商店の休業&ロックダウンが続いている。そんな中、おおやけにはしていないが一部高級レストランがカンティーナに眠る秘蔵ワインの販売を始めた。サイト上での販売などはしていないのであくまで個人的にオーナー、あるいはシェフにメールなりメッセージなりでやり取りすることが必要だというが、とある個人が購入したのはCosta Russi 1983 GAJA,  Sassicaia 1999 Tenuta San Guido,  Trebbiano 2006 Masciarelli, Giulio Ferrari Collezione 1997 di Ferrariなどなど。現在テイクアウト以外に料理の提供ができないレストランにとっては資産を売却して現金を確保する、という手段としては有効かもしれない。 今回の非常事態を受け、日本でもすでに国税庁がレストランでもワインなど酒類のテイクアウト販売を特例的に許可する「期限付きの酒類小売り販売免許」を新設したが、これは自宅待機が続く消費者となんとか数字を上げたいレストランを結びつけるひとつの方法となるかもしれない。少なくとも通常のネット販売などでは上記ヴィンテージを探すのは困難で、こうしたワインを確保しているのはワインで名高い高級レストランであることが多いからだ。 ちなみに国税庁が特例的に許可した今回の期限付き小売販売免許は2020年6月30日が申請期限で、免許の期間は付与から6カ月間。販売できるのは在庫や既存の取引先からの仕入れに限定されることになり、インターネットを使った2都道府県以上の消費者を対象にした販売はできない。また、仕入れや販売を帳簿に記帳する義務が課され、販売数量の報告等を行う必要もある。つまりあくまでもレストランの在庫および通常オンリストしているワインの販売に限定され、これを機会に大規模にワイン販売に方向転換することはできないのだが、例えばトスカーナ料理を営むレストランならば自宅パーティセットとしてトスカーナ・ワインもペアリングして販売する手もあるだろう。自宅での食事が続く消費者にとっても、普段手に入らないワインがシェフやソムリエの手書きメッセージつきで届く、あるいはテイクアウトできるとしたら、これも緊急事態宣言下の日本においてもひとつの楽しみとなるのではないだろうか。

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