オリジナル品種を使ったマンチーニの新作パスタ「ノンノ・マリアーノ」登場
“Ci sono tanti tipi di storie e di sicuro quella di nonno Mariano è stata scritta sulla terra. In mezzo ai suoi campi il nostro pastificio affonda le proprie radici. Il suo esempio è stato per me il seme da cui tutto è partito.”
Massimo Mancini
“歴史というものはさまざまな形で存在するが、ノンノ・マリアーノの歴史は土地に刻まれている。わたしたちのパスタ工房「マンチーニ」は彼が遺してくれた畑の中に深く根ざす。彼の生き様は、私の中に種子を遺してくれた。「マンチーニ」の全てはそこから始まった。” マッシモ・マンチーニ 昨年の7月、マルケ州にあるプレミアム・パスタ・メーカー「マンチーニ」本社を訪れたときのことだ。その日は伝統的な小麦の収穫祭「トレッビアトゥーラ Trebbiature」であり、創業者であり現社長のマッシモ・マンチーニが、「マンチーニ」を使用する3つ星シェフを招き、ともにパスタを食べて収穫を祝うというそれはそれは豪華な収穫祭だった。ロベルト・チェレア@ダ・ヴィットリオ(Roberto Cerea@Da Vittorio)、エンリコ・クリッパ@ピアッツァ・ドゥオモ(Enrico Crippa@Piazza Duomo)、リッカルド・モンコ@エノテカ・ピンキオーリ(Riccardo Monco@Enoteca Pinchiorri)、ジョヴァンニ・サンティーニ@ダル・ペスカトーレ(Giovanni Santini@Dal Pescatore)、といったイタリアを代表する錚々たるトップシェフとともに畑を見学し、パスタ工場を視察、夜はともにワインとパスタで収穫を祝った。しかしそれは単なるイベントではなく、「ノンノ・マリアーノ」のアンテプリマ、つまり内覧会も兼ねていたのだ。 ノンノ・マリアーノとはマッシモの祖父マリアーノ・マンチーニ(1908〜2013)のことであり、マッシモが多大な影響を受けた農業家だ。マリアーノが蒔いた種子はマッシモの中に確かに根付き、農学部卒業後の2010年、マッシモは実家の農地を整備し「パステフィーチョ・マンチーニ」創業を決意する。それは祖父から渡された小麦農家というバトンを一歩押し進め、小麦を自社生産しパスタも作るという「パスティフィーチョ・アグリーコロ Pastificio Agricolo=農業パスタ生産者」という形態で、そのハイクオリティゆえに現在は3つ星レストラン御用達パスタと呼ばれるまでの世界的な名声と評価を獲得している。 収穫祭でマッシモが見せてくれた実験畑カンポ・スペリメンターレ Campo Sperimentaleでは、全ての硬質小麦の始祖とされるファッロ・ディ・コッコ Farro di Coccoはじめ多くの希少品種が栽培されており、小麦栽培に最適な方法と環境作りの研究に役立っている。実はその一角にこれまで7年かけて独自に開発してきた品種があり、「ノンノ・マリアーノ」という名称も取得していると話してくれたのだ。それはマリアーノが105才という長寿を全うした時からマッシモの頭に浮かんでいたアイディア。新しく開発した品種に偉大なる祖父の名前を冠することを目標としてきたのだ。その畑で作られたオリジナル硬質小麦「ノンノ・マリアーノ」100%を使用したクリュ・パスタとも呼べる究極のプレミアム・パスタ「ノンノ・マリアーノ」が2020年11月11日、イタリアで正式に発売された。ちなみにこの日は農家にとっては、種を蒔く暦上新年を迎える記念すべき日だ。そしてこの「ノンノ・マリアーノ」は「マンチーニ」の独占ではなく、希望する栽培家は誰でも栽培できるように協力するという。つまりマッシモは、祖父マリアーノの名前が末長くイタリアの大地に残るよう努力し、実現させたのだ。 今回発売された「ノンノ・マリアーノ」には収穫初年度の小麦が使用されており、ワインならばファースト・ヴィンテージに相当する貴重なもの。直径2.2mm、茹で時間8〜10分という食べ応えも、噛み応え十分。その味わいはまだ楽しみに想像するしかないが、昨年のアマトリチャーナデイでは、マッシモが二つ返事で50キロのパスタ無償提供を約束してくれ、会場では1000人近い来場者に味わっていただいた。その味を覚えている方も多いことと思うが、そうしたマンチーニ・ファンにとっては日本上陸が待ち遠しい、そんなパスタとなること間違いない。SAPORITAをもっと見る
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