イタリアのクラフト・ジン最前線を識る”GINGENERIA APPLICATA”
近年イタリアではクラフトジンがブームである。それはここ数年のアペリティーヴォ・ブームが牽引していることもあるが、コロナによってイタリア人の生活形態が変わったということも大いに影響しているのだろう。現在も緊急事態宣言下のイタリアは全州を感染の度合いによって赤、オレンジ、黄の3段階に分類しているが一番規制が緩い黄色=Zona Giallaでもレストラン、バーの営業時間は18時までに制限されている。ゆえにレストランで夕食を楽しむのは事実上不可能であり、せめて友人と小一時間でも会うならばバーでアペリティーヴォでも飲みながら、という確かな流れがある。その場合に飲むのはワインではなくてジンやラムなどをベースにしたカクテルが主流。そしてMade in Italyに常にこだわるイタリア人にとってジンもイタリア産であることはマストだ。 そうした流れから現在イタリアでは多くの小規模なジン・メーカー=クラフト・ジンがものすごい勢いで増えておりその数は現在なんと100を超えるほど。今回そうしたイタリアにおけるクラフト・ジン最前線を取材し、まとめた貴重な一冊がこの「ジンジェネリア・アップリカータ Gingeneria Applicata」で日本ではまだほとんど知られていないクラフト・ジン・メーカーが合計100軒掲載されている。著者は前作「トスカーナ・ダ・ベーレ Toscana da Bere」でトスカーナにおけるカクテル・ブームを詳細にレポートした、イタリアを代表するバー&カクテル・ジャーナリスト、フェデリコ・ベッランカ Federico Bellanca。イタリアにおけるクラフト・ジンの第一人者だ。 フェデリコが解説するイタリアのジンの世界は実に幅広くオリジナリティに溢れている。例えばアマローネを蒸留したヴェネトの「AmaGin」や、ビオ認証の小麦で作るミラノの「Distino Gin Italiano」、さらに南へ向かえばシチリアの「Insulae Sicilian Gin」サルデーニャの「Giniu」など実に個性豊かなジンがイタリアの各地で生まれている。今後10年はイタリアのテロワールを識る意味でも世界的にMade in Italyのジンに注目が集まる、そんな時代の到来が予想される。 GINGENERIA APPLICATA Il Forchettiere刊

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