テイクアウェイするアペリティーヴォ「フロレアル Floreal」
昨年10月、フィレンツェにOPENした「フロレアル Floreal」はミクソロジー・カクテルとファイン・バー・フードを前面に押しだした新世代バーだ。昨年秋といえばイタリアには新型コロナ・ウイルス第三波が押し寄せ、レストラン、バーなどは店内飲食禁止のロックダウン真っ最中の時期。でも例えロックダウン中とはいえ、イタリア人が人生を謳歌するそのスタイルは変わらない。18時まで店内飲食が許可されている黄色(Zona Gialla)ならば夕方からの小一時間を友人や家族とともにバール、バー、ワインバーなどでアペリティーヴォ・タイムを過ごし、より行動制限が厳しく店内飲食禁止のオレンジ(Zona Arancione)ならば、その代わりにテイクアウトしてでもいつもの味を楽しみたい、毎度のことながらそんな前向きな姿勢には感心させられる。 OPEN直後の「フロレアル Floreal」はテイクアウェイ・カクテルが話題となったが、注文ごとにオリジナル・デザインの缶の中でカクテルを作り、蓋をして渡すというユニークなシステム。そのパッケージとネーミングがまた凝っていて、例えばジェームス・ボンド(風)のイラストが描かれたカクテルは「ドライ・アンド・ストロンガー Dry & Stronger」₡13はタンカレー・ナンバーテン、ベルサザール・ローズ・ベルモット、キンカンとロングペッパーの自家製ビターを使ったオリジナルのドライ・マティーニ。しかしこれがまたジェームス・ボンドも思わずたじたじとなるようなドライでストロングなマティーニ。ほのかに香るバラや胡椒、柑橘の香りを楽しみつつロックでちびちびやるのがたまらない。 「リトル・モンキー Little Monkey」₡12はバンブー・スパイスド・ラム、チンザノ・ベルモット、カンパリ・ビター、ピメント・ドラム、カカオ・ビターを使った、ほろ苦さの中にも甘さが隠れている大人の一杯。チンザノやカンパリを使ったイタリアらしい味と香りはなかなかパンチがあり、こちらは食後酒向き。イタリアでは最近食後酒はDa meditazione(瞑想用)と表現されることが多く、目を閉じてゆっくりと楽しむというニュアンスが多分に含まれている。 また、現在はランチタイムのみバーフードを提供しているが、これがなかなかの凝り用。トスカーナでよく食べるほろほろ鳥を使った「ほろほろ鳥のホット・ドッグ Hot Dog di Faraona」₡15はスモーキーなほろほろ鳥ソーセージ、ザワークラウト風の発酵キャベツを柔らかいパニーノで挟み込み、付け合わせにはローズマリー風味のトスカーナ風ロースト・ポテト。「フロレアル・サンドイッチ Floreal Sandwich」₡9は見た目はオースドックスなサンドイッチだが中身はプロシュット・アロスト、ポモドリーニとタマネギのカラメッラート、そしてアボカドを使ったグアカモレ・ソースとオリジナリティあふれるテイストで、しかもボリューム満点。 夜の営業が可能になったら、フィレンツェ近郊ポンタッシエーヴェの「ポデーレ・ベルヴェデーレ Podere Belvedere」とコラボした新しいフードメニューを提供する準備もすでにできている。同店はアグリツーリズモだが、自家菜園や地元食材をシェフ、エドアルド・ティッリ Edoardo Tilliが最新の調理技術でクリエイティヴに食べさせてくれるのだ。コンセプトは2000年代初頭「エル・ブジ El Bulli」のフェラン・アドリア Feran Adriaの新スペイン料理が世界を席巻した頃のスタイルをイタリア風に表現。ミクソロジー・カクテルと最先端のバーフード、というスタイルはいままでのイタリアには存在しなかった新しい形。コロナ禍でも進化を止めないイタリアのバー&フード業界は、2021年も動きが非常に活発だ。
フロレアル Floreal
住所:Borgo San Frediano,27r FIRENZE
Tel:+39-345-1647856
営業時間など最新情報はFacebookページ参照
https://www.facebook.com/florealfirenze/

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