ファッブリ Fabbriの知的財産所有権が中国で認められる
例え「ファッブリ Fabbri」の名は知らなくてもこの壺を見たことがある人は多いのではないだろうか?「ファッブリ」は1905年ボローニャに創業、主にアマレーナと呼ばれるサワーチェリーで世界的に有名な老舗菓子メーカーだが、この度そのデザインの知的財産所有権が中国で認められる判決が下りた。白磁に青で文様が描かれたその壺は一目見たら忘れられない様式美なのだが、これは創業者であるジェンナーロ・ファッブリ Gennaro Fabbriが妻ラケーレ・ブリアーニ Rachele Brianiにプレゼントしたファエンツァ焼きの壺に由来する。この贈り物にいたく感動したラケーレはその後特製のアマレーナを同じデザインの壺に入れて販売するようになり大人気となったのだ。以来100年以上経っても家族経営の伝統とデザインは変わらず、現在は5代目のファッブリ家の若者たちがファッブリ・ブランドをしっかりと継承している。つまりこのデザインはファッブリ家にとっては家宝も同然なのだが、近年中国の菓子メーカーが酷似したデザインの商品を中国国内で生産、販売。ファッブリは知的財産権の所有を訴えていたところ、先日上海裁判所でその訴えが認められたのだ。 「この判決はイタリア、中国両国において非常に重要なものだ。いまや中国においてもMade in Italyは保護されることが証明されたのだから。」と語るのはファッブリ・チャイナ Fabbri China社長ニコラ・ファッブリ Nicola Fabbri。ファッブリにとっては創業者精神を表すパッケージングゆえに、この判決は非常に嬉しかったのだろう。公式サイトでもこの判決について詳細が報じら、イタリアでも話題になった。 ファッブリの勝訴はいいとしても、実はMade in Italyの商品が知的財産所有権を争っているのは世界中にまだまだ多い。ワインでいえば「キャンティ」という名称や「タスカニータイプ」という表示。ビールサーバーから直接注ぐ「生プロセッコ」や「プロセッコ風味のポテトチップス」なども告発されたことがあった。おそらく世界的に最も有名なのは「パルメザン・チーズ」だが、これはパルミジャーノ・レッジャーノ協会が世界各国のマーケットで販売差し止めや名称変更の訴訟を今も起こしている。日本でも近年イタリア的製品の生産が盛んだが、例えば肉製品サルーミやチーズなどの名称には十分気をつけることが必要だ。日本のGI地理的表示保護制度の登録産品に、外国製品として唯一イタリアから「プロシュット・ディ・パルマ」が登録されているのをご存知だろうか?これは「パルマ・ハム」と表示して生産、販売している国内メーカーが存在することから、牽制の意味合いが強いのではないかと思う。以前とあるイタリア食材展で国産加熱ハムが「ボローニャ・ハム」として販売されているのを見たことがあるが、これも限りなく黒に近いグレーな例ではないかと。SAPORITAをもっと見る
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