第5回SAKEフォトコンテスト受賞者発表
日本の優れた小規模な酒蔵と提携し、独自の目線で選んだ日本酒を輸入販売するフィレンツェ・サケFirenze Sake。日本酒についてのイタリア人の知識はまだまだ浅く、オーナーで唎酒師のジョヴァンニ・バルディーニは、マスターコースやビギナー向けのセミナー、ミクソロジーのプロフェッショナルとのコラボによる日本酒カクテルのオンラインセミナーなど、さまざまなアプローチで日本酒への関心を呼び込む活動も行なっている。その活動の一環として、フィレンツェのインターナショナル・フォトグラフィー・スクールApabと提携して「サケ・フォト・コンテストSake Photo Contest®」をオーガナイズしている。プロのフォトグラファーを目指して学ぶ同校生徒(25〜35歳)が課題として取り組むコンテストで、2015年に第一回を開催、今回で5回目を迎えた。 このコンテストの趣旨は、イタリアで日本酒について語る機会を増やし、そして、日本酒そのものが持つコミュニケーション力を示すこと。そもそもは、日本酒のアイコンとも言える、瓶を彩るラベルの美しさに魅せられたことから生まれた企画である。 学生たちは事前に、日本の文化や伝統についてのレクチャーを受け、さらに日本酒の現代性をイマジネーションの糧にし、独創的な世界を展開しなければならない。単に酒瓶一本を美しく撮るのではなく、その中にある“酒”の奥深く複雑な文化や、そこから想起されるドラマをいかに表現するかが評価のポイントである。審査員は同校の講師で、テクニック、構成、クリエイティビティについて評価を裁定する。また撮影した画像は、フィレンツェサケ・オフィシャルのインスタグラムにアップされ、撮影者は一般人の反響も見ることができる。以下は、今回の入賞者の作品とその解説である。 1位 アンドレア・ゴッボ  Andrea Gobbo メソッドに忠実にかつ慎重でありつつも、グラフィック的要素とスタイルの絶妙な均衡を獲得したワンカット。酒本来の持ち味と生命力を感じさせる、非常にユニークなインパクトがある。日本の文化と作り手の歴史、そのどちらをも明快に物語っている。周囲に配した装飾要素は、写真が伝えようとするメッセージに寄り添い、さらなる伝える力となっている。   2位 ジュゼッペ・テリッリ  Giuseppe Terilli 酒を、ある環境、ある雰囲気に結びつけた作品。作者は、一つのライフスタイルを語り、そして、見る者に日常の中のある一つの経験、ある一つの現象に目を向けさせることで、こんな可能性もあるのだという暗示を与えている。相乗効果という点で優れた作品であり、また別の分野のプロフェッショナルとの共同作業によって生まれたという点においても評価した。 3位 ロレンツォ・サバティエッロ、フェデリコ・ヴィニョーリ Lorenzo Sabatiello e Federico Vignoli 表現構成力に優れた作品。色彩を操ることで感情の起伏を反復させ、見る者を巻き込むような暗示を作り出すことを追求している。大局的な日本の伝統、そしてこの酒蔵特有の伝統、それぞれを新たな目線で解釈しているところも評価できる。 4位 ジェンナーロ・デルコレ、マウリツィオ・ザニエーリ Gennaro D’Ercole e Maurizio Zanieri (特別選出) グラフィックを重視することも写真における作画意図になりうるということを、うまく調和のとれた作品で表現している。ミニマリスティックな独創性を追求することは、現実世界を超える視点を必要とし、非常に細かく繊細で根気のいる作業である。   以下は過去の入賞作品。  

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