最新北陸ガストロノミー「オーベルジュ・オーフ」2022年7月OPEN
近年日本の地方発のガストロノミーが元気だが、今年の7月石川県の山間部に新たな新名所が誕生する。石川県小松市観音下町(かながそまち)にOPENする「オーベルジュ オーフ Auberge Eaufeu」は、廃校となった小学校をオーベルジュにリノベーションした地方再生のプロジェクトだ。大正時代に石切場が開かれた観音下町は、その後過疎化が進み平成30年に「旧西尾小学校」は廃校になる。しかし廃校となった後もその姿は昔懐かしい里山風景の一部として地元の人々に愛されてきたのだ。
オーフ Eaufeuとは素材における原点である水=Eauとエネルギーを生み出す火=Feuから作られた言葉で、観音下町再生のシンボルとなるはずだ。旧図書室を改装したスイートルームなど小学校の面影を残すゲストルームは全12室で屋上は広大なテラスとなる。料理を担当するのは「RED U-35」で史上最年少(26歳)でグランプリを受賞した1992年生まれ糸井章太シェフ。美しい水が育む地元の食材を使い、観音下町発のローカルガストロノミーを提唱する。
過日、OPEN前に東京で特別に披露された糸井シェフの料理を堪能する機会に恵まれたのでここに紹介したい。まず最初に登場したのはアペリティフではなく、すべての料理に糸井シェフが使うという仕込み水と炭酸、山椒で香りをつけた食前水。まず水の美味しさを味わってから料理がスタートする。「木の芽 西俣どじょう」は石川県の清流で育ったどじょうの唐揚げと山椒に甘酒とヨーグルトのディップ。甘酒は観音下町にある酒蔵、農口尚彦研究所のものだ。「甘エビ ビーツ 加賀蓮根 薔薇 紫蘇」は大地の香りが豊かなビーツと甘エビの相性の良さが印象的。「鮎 きゅうり カプーアバジル パクチー」は鮎のフリットで中にきゅうりやハーブをしのばせてある。これも香り高い一品。「蛍米 大麦 キャビア」は一口サイズのリゾット、いやリズィ・エ・ビズィといおうか。これにあわせたのはアルコール度数18度の、農口尚彦研究所の辛口本醸造。キャビアのねっとりとした卵黄に似た食感は日本酒によくあう。「甘鯛 観音下 ベルモット 山菜 青袖」はウロコ焼き甘鯛に、柑橘を思わせるベルモットを使ったスープが好相性でこの日のベスト。
肉料理はわなで取れたという「イノシシ でけえなめこ のびる ジュニパーベリー」は子羊を思わせる上質で脂が香ばしいイノシシに、黒にんにくを思わせるようなジュニパーベリーの香り。デザートには「フォンダンショコラ 麹と牛乳のジェラート」これも日本酒が飲みたくなる和のテイストを残したジェラート。
糸井シェフは観音下に移住し、地元にしっかりと根ざして食材を学び、メニュー開発に取り組んむというからその本気度が伺える。今回のメニューはいわばプレビュー・バージョンで7月正式OPENの際にどんな料理が登場するかが楽しみだが、それは実際に現地に足を運び、体験してみてほしい。
Auberge eaufeu オーベルジュ オーフ
2022年7月14日OPEN予定
〒923-0171 石川県小松市観音下町ロ48
https://eaufeu.jp
オーベルジュ:火、水休(祝日の場合は営業)
レストラン: ランチ12:00〜15:00(土日祝のみ)¥16,500、ディナー17:30〜22:00火・水休(祝日の場合は営業)¥16,500
カフェ:11:00〜17:00 火・水休(祝日の場合は営業)
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