フィレンツェ最大の食品見本市TASTEが開催
今年で16回目を迎えたTASTEは、イタリアの中小規模の食品メーカーが集う見本市。一般的に見本市はBtoBの業界完結型だが、TASTEは第一回目から一般人の入場も可能としている。ビジネスだけでなく、一般消費者とのコンタクトも可能とすることでイタリアの今のガストロノミック・カルチャーを広く知ってもらうというのが目的だ。 年々規模が拡大し、第一回から会場としてきたスタツィオーネ・レオポルダに収まりきらなくなったため、昨年から場所をフォルテッツァ・ダ・バッソに移した。主催はピッティ・ウォモなどファッション見本市を中心に運営しているピッティ・イマジネ。フードジャーナリストのダヴィデ・パオリーニを監修に迎えて始めたTASTEは当初、ごくこじんまりとしたアットーホームな集会といった感じだったが、ファッションブランドのミラノ一極集中が止まない現在ではピッティ・イマジネにとっては重要なイベントになりつつある。実際、今年は新規100社を含む538社が出店する過去最大の規模となった。 今年の開催期間は2月4日〜6日、4日と5日の9:30〜14:30はバイヤー限定、14:30からは一般向けに解放(4日と5日は19:30まで、最終日は18:00まで)。バイヤーの入場料は前売り10ユーロ(期間中は15ユーロ)、一般入場料は20ユーロ、いずれも一日券でオンラインまたは当日会場で購入する。 フォルテッツァ・ダ・バッソの入り口は複数あるが、TASTEに通じる入り口にはバナーが掲げられているので迷うことはない。チケットを事前に購入している場合は入り口で見せ、持っていない場合は中で購入する旨を告げて会場に向かう。ちなみに、会場マップはチケット売り場に常備されているが、訪れるなら事前にオンラインのPitti Connectで出店者情報をチェックしておくといい。各メーカーを写真付きで紹介しているのでイメージもつかみやすい。 会場はメインとなるセントラル・パビリオンの1階と2階(チケット購入は2階)、隣接するカヴァニリア館。扱う食品の種類によってゾーニングされ、アルファベット順にブースが並んでいるので、目指すメーカーが決まっている場合スムーズにたどり着けるし、そうでない場合でも、加工肉食品、チーズ、保存食といった具合にゾーニングされているので、テーマを決めて比較したい向きにも都合が良い。そして何より、ブースのサイズがほぼ均等かつコンパクトなのでメーカーの規模に惑わされることなく、かつ効率的に見て回ることができる。ただ、コンパクトなあまり目的のメーカーに人垣ができているとなかなか近づけないということもある。並んで待つスペースもないので、そういうときは他を見て回って空くタイミングを見るほかはない。見本市ではあるが、祭り的な要素も多分にあると心得た方がいい。 セントラル・パビリオンの2階には、ハム・サラミやチーズ、魚介加工品、クラフトビールなどのメーカーが並び、イタリア食品を代表するものばかりだから人も多い。1階にはトリュフやきのこ加工品、パスタ、野菜や果物の加工品など、カヴァニリア館にはドルチェ関係が集まっている。また、今年はアマーロがセントラル・パビリオン1階の特別エリアに集められているところに、ミクソロジーブームの影響が感じられる。 TASTEの特徴の一つが、出口にショップが設けられていること。出店メーカーの全てではないし、ショップで販売されているのはブースで紹介している商品の一部に限られているが、それでも購入できるのは一般消費者にとっては嬉しいところだ。購入した商品はオリジナルのショッパーに入れて持ち帰る。丈夫で繰り返し使えるこのショッパー、毎回変わるデザインもユニークだ。さらに、会場外、つまり、フィレンツェの街中のレストランで、メーカーとのコラボレーションイベント(テイスティングやスペシャルディナーなど)も開催している。FUORI TASTEと呼ばれるこのプログラムはオフィシャルサイトのイベント・カレンダーでチェックできる。単なる見本市とは一味違う、イタリアの食の楽しいところを凝縮させたTASTE、訪れて損のないイベントである。            

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