うにパスタがテーマの「能田耕太郎シェフ x うに虎」

市場機能は豊洲に交代したものの、築地場外は以前と変わらぬ活況を見せており、特に近年では外国人観光客の人気がめざましい。そんな築地場外では、現在能田耕太郎シェフが「築地うに虎」にてうにパスタをテーマにしたポップアップレストランを展開中だ。能田シェフはイタリアの「Enoteca La Torre」「Bistro64」そして東京の「FARO」と3つのレストランでミシュラン1つ星を獲得した唯一の日本人シェフ。その能田シェフが期間限定のうにパスタを提供するというのだから、外国人観光客でなくとも食指が動くはずだ。

メニューは「うにのスパゲッティ 魚醤バター」と「うにのスパゲッティ バジルペースト」の2種類で、それぞれ北海道産のうにのトッピングは30g(6000円)、60g(9000円)、100g(15,000円)と3種類がある。まず温かい「うにのスパゲッティ 魚醤バター」は能田シェフの名作「じゃがいものスパゲッティ」を彷彿される味と香り。発酵バターと魚醤という黄金の組み合わせに、リコリスの甘く爽やかなニュアンスがアクセント。パスタは特注の卵入り生麺で、硬質小麦を使った乾麺とは一味違う、独特のコシの強さが日本的でもあり、ソースとよくあう。そしてトッピングには北海道から直接送られてくる「築地うに虎」のうにで、その日によって一番いい産地のうにが送られてくるという。これをほぐしてパスタに絡めながら食べると、うにと発酵バターのコクが非常にいい塩梅で、隠し味程度に忍ばせたにんにくの旨味も好相性。もうひとつ「うにのスパゲッティ バジルペースト」は暑い日に食べたくなるキリリと冷えた冷製パスタ。こちらはバジリコとオリーブオイル、パルミジャーノで仕上げてあり、バジリコの爽やか風味とうにを交互に味わいながら食べる。

パスタにあわせるのは日本酒とワインで全て能田シェフのセレクトで、こちらも同時に試してみたい。アリサワ酒造「糀おしろい」は純米のどぶろく風にごり酒で、みりんを思わせるほのかな甘みが特徴。米鶴酒造「ピンクのカッパ」は赤色酵母を使った珍しいロゼ色の純米酒で、味わいはマイルドかつ酸が心地よく、アルコール度数も11度と食中酒としても飲みやすい。飛良泉本舗「飛良泉 HITEN 雛」は現代的日本酒の特徴が前面に出た純米酒で、リンゴ酸を引き出すNo.77酵母を使用。乳酸発酵を思わせるヨーグルト、レモン、グレープフルーツの香り。酒井酒造「五橋 five red」は日本酒度+12とシャープな切れ味の純米辛口。唯一の大吟醸である黒龍酒造「九頭龍」は華美すぎない吟醸香に果物や白い花の香りとは裏腹に、味わいは力強い。日本ワインは2種類でココファーム「農民ドライ」はケルナー、ミュラートゥルガウ、シャルドネなどのブレンドで爽やかな酸。カベルネ・ソーヴィニョンとメルローのロゼは高畠ワイナリーの「プレミアムロゼ」バリックで熟成させた、色調は深いバラ色だが味わいは軽くてチャーミング、ウニにもよくあい、能田シェフのお気に入りの一本。

現在展開中の「築地うに虎 X 能田耕太郎」は2024年9月30日まで。「築地うに虎 」は築地場外には数店舗あるが、能田シェフのポップアップは東京都中央区築地4-10-16 MSビル1階。早朝OPEN、14時には閉店してしまうので、ここは築地場外の伝統に則りまずは場外を一通り散策し、日本ワインと日本酒を楽しみながらうにパスタを味わう。そんな楽しみ方はいかがだろうか。


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