イタリアのナッツ100%。パリアーニ社が誇る革新的ナッツ製品が日本上陸
ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、アーモンド。北はピエモンテから南はシチリアまで、イタリアはナッツの宝庫。身近な素材だけに料理、お菓子に頻繁に使われる。そのナッツの魅力を最先端の独自技術で存分に引き出すのが、ピエモンテ州のパリアーニ社だ。
企業としての正式創業は2010年と新しいが、それ以前に、創業者マティア・パリアーニ氏はトリノ大学の農学部での卒業論文テーマに、ナッツオイルのプレス抽出の新技術を取り上げ、国際的なイノベーション賞を受賞。その新技術で開発したナッツオイルやナッツパウダーを、フェラン・アドリア、マッシモ・ボットゥーラといった当時ガストロノミー界の急先鋒のシェフたちの元へ持参し、意見を求めたという。そして、ピエール・エルメがナッツパウダーをマカロンに採用したことで知名度が高まった。そのパリアーニの製品がこのほど日本でも正式にローンチ、製菓はもとよりアルタ・クチーナにおいてもイタリアの優れた味わいを存分に発揮する材料であることを実体験する発表会が、東京・銀座「ファロ」で開催された。
マティア氏によると、パリアーニ社が大切にしているのは、
・エチケッタ・プリータ=添加物はもちろん、不要な砂糖、植物性油も使わない
・自然がもたらした恵を損なわない
・栽培する農家を尊重し、栽培にダイレクトに参加することで原材料の品質を守り高める
・粒の形状やロースト具合などクライアントの要望にフレキシブルに応じる
こうした高い意識のもと、さまざまな製品を開発し、ナッツオイル、パウダーの他に、ホールナッツ、ペースト、さらにはキャンディド・フルーツ、柑橘エッセンスオイルなど多彩なラインナップに至っている。その中から今回日本デビューしたのが、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、アーモンド、松の実の製品だ。
ヘーゼルナッツはピエモンテIGP、ピスタチオはDOPブロンテとシチリア産の2種、アーモンドはシチリア産固有種のトゥオーノ種、松の実はトスカーナ産である。IGPやDOPは、それぞれの生産者が加盟する保護協会のもと、厳格な栽培規格に則っており、パリアーニ社も協会に加盟して品質管理の一翼を担っている。とりわけ、ブロンテ産のピスタチオは、有名だけに偽物も多く、購入する側も慎重さが求められるが、パリアーニ社はそうした不安も完全払拭した製品を提供している。
今回の発表会では、「ファロ」の料理長浜本拓晃シェフ及び加藤峰子シェフパティシェエによるナッツをメインとした料理とデザートが紹介された。パリアーニ社のナッツ製品の魅力は100%純素材であること、ゆえにお菓子だけでなく料理にもその威力を発揮することを実際に味わって確認するというわけだ。

ピスタチオとヘーゼルナッツのアミューズ
ピスタチオのペーストは味や香りがしっかりしているので、同等の強さを持つアスパラガスを合わせたと浜本シェフ。また、ヘーゼルナッツはその風味を強調するために紫キャベツを合わせ、燻製をかけたパンチェッタを巻いている。キャベツの酸味、ローストしたヘーゼルナッツの風味、燻製の香り、それぞれのバランスが取れた中での印象的なアクセントを狙ったという。
ピスタチオなどナッツのペーストは、20μという細かい粒子ゆえ、非常にシルキーで軽やか。そして色も自然で、鮮やかさよりも優しさ、心地よさを感じさせる。

鰤とアーモンドのアンティパスト
アーモンドパウダーを使用したフリット仕立て。ブリのハラミは脂が強いので、ソースに酸味が欲しいと考え、ヘーゼルナッツペーストにライムをプラスし、レモングラスとしその香りを添えたという。
ナッツパウダーは、ナッツを脱脂しているため雑味がなく、素材そのものの味わいが生きている。また、トゥオーノ種のアーモンドは、他の品種と異なり、ごく僅かに苦味を持った個体が混ざっているため、余韻に微かなビターアーモンドを感じさせ、料理の味わいに奥行きをもたらせるのだという。

ピスタチオDOPブロンテと南瓜のラヴィオリ
ブロンテ産ピスタチオのペースト、カルダモンの香りを移した豆乳をラヴィオリのソースに。ラヴィオリはヴィーガン仕様でフィリングは南瓜とリコッタ。「ファロ」の代名詞でもあるヴィーガン料理ににナッツは、コクや油脂をもたらしてくれる重要な素材として多用しているという。
ピスタチオというと緑をイメージするが、現物は紫色もかなり強く、ペーストにすると灰色がかった明るい褐色となる。鮮やかな緑色をしたピスタチオ製品は着色していることが多く、使う側、食べる側ともに意識改革が必要なところだ。

猪とヘーゼルナッツのセコンドピアット
ヘーゼルナッツのコクとイノシシの脂の相性を感じてほしいと浜本シェフ。イノシシのコンフィとヘーゼルナッツのペーストを合わせてソースにし、肉の中ににヘーゼルナッツホールをローストして射込んでいる。
ペーストは20μ以下のなめらかさ、そして、一切の添加物(着色料、安定剤、保存料など)不使用、特に、植物オイルを添加していないこともポイント。価格を下げるために植物性油を添加するメーカーもあるが、パリアーニのペーストはナッツ100%である。

薔薇と檜そして扁桃のデザート
アーモンドの香りが素晴らしいので、アーモンドと日本の伝統的な香りの檜を使って、日本とイタリアの融合を表現した、と加藤パティシェ。ゼリー、ジェラート、ソースも全て葛を使ったヴィーガン仕様。檜の清々しい香りとアーモンドの明快な香りが相乗効果をもたらす絶妙な一品。

松の実のムース・プティフール
松の実のペーストを使ったプラントベースのムースケーキ。松の実には、そよ風が吹く季節のイタリアの海辺のイメージを抱くという加藤パティシェ。アマルフィ海岸も感じたくてレモンの香りを忍ばせた。
問い合わせ
ヴァローナ ジャポン 株式会社
info.tokyo@valrhona-selection.com
パリアーニ公式サイト
valrhona.com/jp/11/1/pariani
https://pariani.org/en/
https://www.instagram.com/parianilab/




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