Vinitaly 2025 世界を魅了したワインの祭典

2025年4月9日から9日にかけて、イタリア・ヴェローナにて開催された第58回「Vinitaly ヴィーニタリー」は、イタリアはもちろんのこと世界中のワイン関係者たちの注目を一身に集める一大イベントとなった。今年のVinitalyには4,000を超える出展者と合計97,000人を超える来場者が訪れ、うち約30%が国外からの参加者であった。特筆すべきは、アメリカ、ドイツ、中国、日本をはじめとする主要市場からのプロフェッショナルバイヤーの数であり、公式発表によれば全体で30,000人以上のバイヤーが世界中から集結。特にアジア市場からの関心の高まりは顕著であり、日本からの来場バイヤー数は前年比12%増という伸びを記録した。

まず開幕前夜の2025年4月5日に開催された「Opera Wine オペラワイン」は圧巻の一言だった。これはアメリカのワイン専門誌「Wine Spectator」とVinitaly主催によるもので「Finest Italian Wines 100 Great Producers」と題しイタリア最高峰のワイナリー100社を招待。会場にはフランチェスコ・ロロブリージダ農務大臣や「ベッラヴィスタ」のヴィットリオ・モレッティ、「プラネタ」のアレッシオ・プラネタ」「バスティアニッチ」のジョー・バスティニアッチらの姿も見える華やかなイベントだった。100のワイナリー全てを紹介することはここではできないが、30種類ほど試飲した中でも特に素晴らしかったのは「Berlucchi Franciacorta – Franciacorta Franco Ziliani Riserva 2011」「Argiano – Brunello di Montalcino 2019」「BIONDI-SANTI TENUTA GREPPO – Brunello di Montalcino Biondi-Santi Tenuta Greppo 2018」「Tenuta San Guido – Vino da Tavola di Toscana – Sassicaia 1993」「Castello di Ama – Toscana L’Apparita 2021」「Isole e Olena – Toscana Cepparello 2015」「Ornellaia – Bolgheri Superiore 2015」「San Giusto a Rentennano – Sangiovese Toscana Percarlo 2013」「Allegrini – Amarone della Valpolicella Classico Fieramonte Riserva 2013」「Masi – Amarone della Valpolicella Classico Mazzano 2003」「Mascarello Giuseppe e Figlio – Barolo Monprivato 2020」「「Pio Cesare – Barbaresco 2012」などだ。

Vinitaly会場内で開催された特別試飲イベント「Vinitaly Tasting – The Doctor Wine Selection」はワイン評論家ダニエレ・チェルニッリが選定したトップワインが一堂に会し、ソムリエ、バイヤー、ジャーナリストを対象にしたテイスティングが行われた。「Gambero Rosso」はトレビッキエーリ獲得ワイナリーの試飲会を開催し、ナチュラルワインの祭典である「Raw Wine」は世界各国の自然派ワイナリーが集結。日本からはHiroshima Wineryが参加した。「オステリア・フランチェスカーナ」のポップアップレストラン「Al Massimo」は初日から満席の大盛況で、マッシモ・ボットゥーラもインタビューや表彰式が終わるや否や厨房に入り、スタッフとともに料理を盛り付ける奮闘ぶりだった。

また会場外では「Vinitaly and the City」という市内イベントがVinitalyと並行して開催され、ヴェローナ旧市街の歴史的建造物や広場で開かれた試飲会や音楽イベントには多くのワイン愛好家や旅行者が訪れ、街全体がVinitalyとワインの祝祭ムードに包まれた。

屋外で行われた注目イベントはシチリアのワイナリー「Firriato フィリアート」主催の「Experiencing FIRRIATO in Verona」だ。これはヴェリタ・ポエタ館を貸し切って行われ、スプマンテから始まって館内を進むごとにワインと料理が現れるという趣向。アランチーニやガンベロフリットなどのストリートフードやキャビア、アジアーゴ、コロンバなどさまざまな料理とともに味わうユニークなエクスペリエンス形式の試飲が大人気だった。

もうひとつ話題のイベントとしては、今年新設された「Vinitaly Mixology」だ。これは近年ますます人気が高まるミクソロジー=カクテルブームを象徴したもので、ワインを使ったカクテルの提案や、ミクソロジストによるライブパフォーマンスが行われ、従来の枠を超えたワインの楽しみ方を提示した。これはワイン離れが進んでいる若年層の関心を引き込む新たな試みとして注目を集めていた。

国際性、専門性、そして文化的側面を兼ね備えたVinitalyは、単なる商業見本市の枠を超えた、イタリアワイン界にとって特別な存在である。ワインを通じた人的交流、情報発信、そして経済的な波及効果は計り知れず、その影響力は年を追うごとに拡大している。会場ではトランプ大統領による相互関税がどこでも話題となっていたが、そうした不安を吹き飛ばすようなイタリアワインの飛躍に今年も期待したい。


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