那覇から発信する琉球イタリアン CROSS47

那覇市のメインストリート、国際通り沿いに2019年にオープンした「CROSS 47(クロス・フォーティセブン)」はトラディショナルに琉球タッチを加えたイタリア料理店だ。店名の「フォーティセブン」とは沖縄県の都道府県コードであり、地元に根ざした店舗を目指すという意欲の表れであり「クロス」とは全国各地の人々や食材などの交差交流(クロス)を意味している。南城市生まれの高良盛将シェフは「ラ・ポンテ」「トラットリア・ランプ」など那覇市のイタリア料理店でキャリアをスタートすると「CROSS47」オープニングスタッッフとして加わり、2023年にシェフに就任。沖縄出身であることを強みとし、沖縄食材を使ったイタリア料理を作る。

例えば看板料理である丸鶏の悪魔焼き「ポッロ・アラ・ディアヴォーラ47」は3日間かけて仕上げるシンプルながらも手の込んだ料理。ソミュールに一晩漬けた後、翌日はドライトマトやレーズン、唐辛子などのペーストを塗ってさらに一晩寝かせてある。ローズマリーとクミン、ニンニクが効いた鶏は中までしっとりとジューシーで、時折ハリッサをつけて辛さをプラス。暑い夏に汗かきながら食べたくなる味。パスタもシンプルに「スパゲッティ・カチョ・エ・ペペ」だが、ペコリーノではなくパルミジャーノを使って甘口に仕上げてあり、香りの良い島胡椒ピパーツと黒胡椒をブレンドして使用している。「カプレーゼ」は宜野座のトマトにイタリア産モッツァレッラの組み合わせ。

高良シェフは今後沖縄伝統の宮廷料理のエッセンスを取り入れたコースメニュー開発にも取り組んでいる。例えば沖縄にはカツオと豚の出汁をあわせる沖縄そばの文化があるので、ウミヘビ「イラブー」と豚の出汁を合わせ、シークアーサーとローリエで香りをつけたスープ仕立てのタリオリーニにする。伝統食材である田芋はドゥルワカシーに着想を得て肉の付け合わせやニョッキに。アンチョビに似たスクガラスはバーニャカウダにし、イタリアンパセリに似た島のハーブ、ハママーチはサルサヴェルデにして提供している。県内のゲストは琉球料理よりも伝統的なイタリア料理を好むケースが多いのでその塩梅はうまく使い分けるようにしているという。

「わたしたちのおじいやおばあは、昔からずっと伝わってきた食べ合わせをずっとやってきているので、お年寄りから学ぶことはたくさんあります。でも私の世代はそうした食べ方をしてこなかったのでもっと本を読んで勉強したり、そうした伝統を現代に伝えていかないといけないと思います」と高良シェフ。沖縄にはイタリアと同じく医食同源、あるいは薬食同源=ぬちぐすい、という文化がある。「ぬちぐすい」とは「命の薬」を意味し、食事で健康になるという考えが古くから根付いているのだ。現代イタリア料理にとってみても、長寿の島沖縄から学ぶ要素は数多い。宮廷料理をイタリア料理に昇華させる高良シェフの料理はこれからも注目だ。


CROSS47
沖縄県那覇市安里2-4-7
TEL:098-943-9625
https://www.cross47.com/



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